雨の通り道
5月16日作成 管理人・小雨がオリジナル・版権イラスト、日記などを雑多に書いているブログです。
パリオペラ座バレエ団 ヌレエフ版「ロメオとジュリエット」
- 2022/11/21 (Mon) |
- 日記というか雑記 |
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絵は話題に合わせて久々のバレエ絵でくるみ割り人形の金平糖の精
自信なかったのに同じ日に描いた3枚の中で一番いいねが伸びました~
昨日から今日の夜中にかけてBSプレミアムシアターでやっていた
ルドルフ・ヌレエフ振り付けのバレエロメオとジュリエット観ました~
ヌレエフ版観たことあると思ってたけど観るの初めてでした~
凄くセクシャルな演出で、不快と紙一重だったけど
所々に挿入される幻想的だったり示唆的な演出も面白くて
デフォルメされてるのに凄くリアリティーを感じさせる振り付けで、
家と言う物に蹂躙された若い男女の悲劇が切々と胸に迫りました。
ダンサーも皆良くて凄く面白かったですー‼
要所要所でシェイクスピアのロミオとジュリエットの戯曲の台詞が
薔薇のイラストをバックに挿入されるのも
原作の言葉の良さとそれに忠実な今回の舞台の良さを感じさせて良かったです。
第一幕、ヴェローナの広場で小競り合いをするモンタギュー家とキャピュレット家の男女達、
様式化された動きが面白くてちょっと映画ウエストサイドストーリーを思い起こさせました~
場面変わってジュリエットの部屋、ジュリエット役のエトワール、ミリアム・ウルド・ブラーム、
大分昔生でガラ公演で観たことあるのですが、
お顔は童顔と言う訳ではないけど、あどけなくてピュアな雰囲気があるので
13歳の少女ジュリエットにぴったりでした~(*´▽`)
まだまだ同じ年頃の少女達とふざけたり遊ぶのが好きなジュリエットの
無邪気な感じが凄く可愛くて萌えました。
かくれんぼをしている途中で
カーテンの影に隠れて睦み合う男女を見てしまうジュリエットのシーンは、
こんな露骨で赤裸々な演出やって良いのかと心配になりました(?)
両親から婚約者パリス伯爵を紹介されるも、
ちょうど良い遊び相手を見つけたかのようにじゃれかかるジュリエットに困惑気味のパリス、
ジュリエットのどこまでもあどけなく幼い少女の面が強調されていて
これからの展開を思うと胸が痛くなりました~
舞踏会でロメオとジュリエットが踊るシーンは、
ロザライン役のオニール八菜さんが艶っぽくて可愛かったです♥
でもヌレエフ版女性への男性の胸タッチとか男性の股間をくぐったり、
セクハラ紛いの振り付けがしつこくてちょっと食傷気味(^o^;)
一目で恋に落ちたロメオとジュリエット、
バルコニーのシーンはロマンチックな庭園のようなセットで気分が盛り上がって良かったです~
ロメオ役のエトワール、マチアス・エイマンも少年らしい爽やかさが出ていて、
バルコニーのパ・ド・ドゥは
お互いに恥ずかしくてどうして良いか分からないけれど、
ただ相手に触れたい、近づきたいと言う
初々しい少年少女の恋のときめきが良く出ていて凄く素敵でした~
「ここは東か?それならあなたは太陽だ 太陽よ月を隠してしまえ
あなたが自分より美しいと知って青ざめている嫉妬深い月を!」
「おおロメオ、あなたはどうしてロメオなの?どうか私のために名前を捨てるとおっしゃって」
「私の事を愛しい人と呼んでください
そうすれば私は洗礼を受けたも同然だ」
とシェイクスピアの有名な一節が挿入されるのも素敵。
第二幕、ジュリエットの乳母が他の版の様に中年の女性ではなく若い女性なのも
リアリティーあって良かったです~また胸タッチされてるのも生々しくて。
ロレンス神父の庵で密かに結婚式を挙げるロメオとジュリエットのシーン、
バックの聖母マリアと幼子イエスのタペストリー?が雰囲気あって好きでした。
広間でロメオ達がティボルトに絡まれていさかいになるシーン、
ティボルトがロメオを挑発するためにキスするのが…BL系苦手なのでうわっ…てなりました( ´д`)
ヌレエフがゲイだったのは知ってますが、
ロメオとティボルトとかロメオとマキューシオとか、
男性同士の絡みの方が類型的な男女のパ・ド・ドゥのシーンより
遥かにセクシャルさを感じさせるんですよね。
マキューシオがティボルトをおふざけでからかって刺され、
ロメオがティボルトを殺してしまうシーンは、通常の演出とは違い
マキューシオの死に憤ったモンタギュー家の面々がロメオを焚き付けるようにすると言う演出で、
ロメオもためらいながらも仲間達に逆らえず剣を抜くという感じが
ロメオもまた家、家名と言った物に縛られる弱い一個人にすぎないのだと言う感じが出ていて
凄くテーマ性を感じて良かったです。
ティボルトを激情のままに刺してしまったロメオが
一瞬自分が何をしたのか分からないと言うように放心した表情になる所も良かったです~
そして通常ではキャピュレット夫人がティボルトの死を嘆くシーンの音楽で
ジュリエットが従兄の死を嘆き悲しみ、
ロメオの胸を拳でうち据えるシーンは原作のジュリエットのロメオへの罵りを思い出させて、
ロメオを愛する気持ちと従兄を殺された憎しみの間で引き裂かれるジュリエットの
やる場のない思いを感じさせて凄く心に残りました。
ここでシェイクスピアの
「乳母や、ロメオ様を新婚の床に呼んでちょうだい
そこで私はロメオ様ではなく死神にこの体を捧げることになるでしょう」
というシェイクスピアの一節の後で、
ジュリエットが骸骨の仮面を被った褌姿のような筋骨隆々とした死神とベッドに入るシーンは、
死に蹂躙されるうら若い乙女と言う、
男性から見た極めて暴力的な情動の放逸が感じられて、
全編で一番性を感じさせるシーンだと思いました。
その後本物のロメオと一夜を過ごしたジュリエットが、
処女喪失して呆然としているかの様にひとりベッドに腰かけているシーンは
少女主義者にはグッと来る物がありました。
ロメオとジュリエットの寝室のパ・ド・ドゥのシーンは
さっきも言った様に類型的な表現に止まっていて、思ってたよりあっさり目でした。
キャピュレット公とキャピュレット夫人にパリスとの結婚を強要されて、
必死で抵抗するもキャピュレット公に頬を打たれて
人形のようにされるがままに二人に婚礼衣装を着せつけられるジュリエットのシーンは、
時代とか身分とかを超えて、父親と娘の支配的な関係を象徴しているようでした。
「ロレンス神父に相談してみよう。それで駄目なら死ぬだけだわ」と
ジュリエットがロレンス神父の庵に助けを求めるシーンで、
ロレンス神父が仮死状態になる薬の効能を説明する所、
バックでジュリエットの代役を立てて
薬で仮死状態になったジュリエットがキャピュレット家の墓地に葬られた所に
ロメオがやってきて幸せになる二人が描かれるの、
分かりやすいし本当ならあったかもしれない幸せな未来を感じさせて切なくて凄く好きでした。
ジュリエットが薬を飲むシーンで
短剣を持ったティボルトと薬を持ったロメオの幻影が現れて
どちらを選ぶか迫るところは、ティボルトは口から、ロメオは左目から血を流していて、
ゴスロリさんが好きそうな演出だなーと思いました。
ロレンス神父が秘密の手紙を託した僧が
人々からリンチされて命を落とし、
寝ているロメオの夢の中にジュリエットと乙女達が現れて幸せに踊った後、
ベンヴォーリオにジュリエットの死を知らされて悲嘆に暮れるロメオのシーン、
ベンヴォーリオとロメオのアクロバティックなパ・ド・ドゥがやっぱりセクシャルでした(^-^;
ジュリエットを墓所に葬るキャピュレット公が父親らしい情愛を見せる所も
一枚岩ではない深みのあるキャラクター性を感じさせて良かったです。キャピュレット夫人も。
ジュリエットの墓に駆け付けたロメオが彼女の死に絶望して毒を煽り自害し、
目覚めたジュリエットが彼の遺骸を見て魂の慟哭をあげる所は涙を誘いました~
ロメオの短剣で腹を指し息絶えるジュリエット。
そんな二人を見てモンタギュー家とキャピュレット家の面々が和解するラストシーン、
両家の人々が両脇から出てきてこの期に及んでまだいがみ合う所は
いつまでも争う事をやめない人間の愚かしさを感じさせてやるせなかったですが、
そこから割りとあっさり和解してしまうのでちょっとあれ?ってなりました_(^^;)ゞ
最後にヴェローナ大公の
「憂鬱な朝だ。太陽も悲しみに顔を曇らせている。
ロメオとジュリエットの物語。いまだかつてこれほどの悲劇があっただろうか」
という台詞で幕を閉じるの、本当にこの演出の原作の戯曲の再現性を感じさせると共に
ロメオとジュリエット、ひいてはシェイクスピアの戯曲の完全性を感じさせて
しみじみと心に残る終わり方で良かったです。
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