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雨の通り道

5月16日作成 管理人・小雨がオリジナル・版権イラスト、日記などを雑多に書いているブログです。

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風立ちぬ


ピンぼけ写真ですみません;;
映画上映後撮ったので出口から出てくる人の邪魔になると思い撮り直せませんでした;;
風立ちぬ、華麗なるギャツビー観に行った時4分の長い予告編観て観たい!!
と思いまして私にしてはジブリ映画では異例の公開日に観に行く事に。
でも混んでるかなーと思って三日前にネットでチケット取ったけど、
そこそこお客入ってたけど想像してた長蛇の列はありませんでした。
もののけ姫の初日は1時間半並んだのに…
まあ今回は子供向けじゃないしね…実際子供ほとんどいませんでした。
映画、とっても良かったです!いち早く観に行って良かった!
つづきからネタバレ満載の感想ですのでこれから観に行かれる方はご注意下さい!


まず東宝のロゴの後おなじみのジブリのトトロマークが出て、「風立ちぬ」のタイトルが。
しかしその直前に同じく東宝のマークの後
秋にやる「かぐや姫の物語」の予告がやってたので、
私はまた予告編かと思って気を抜いてました;
堀辰雄が訳した「風立ちぬ いざ生きめやも」という有名な(私は知らなかったけどorz)
詩句が画面に浮かび上がり、物語が始まります。
時は大正時代。眠る幼い日の堀越二郎少年は、
夢の中で生家の屋根に取り付けられた飛行機に乗って空へ飛び立ちます。
映画を観ている私たちをも物語の世界へふわっと飛び立たせてくれる様な幕開けでした。
でも最後にハウルに出てきた巨大軍艦みたいな飛行機に撃墜されて夢が終わる所が、
二郎のその後の運命を感じさせます。

朝になり村の小学校に向かう二郎、自然豊かな田園の風景がとっても美しかったですー!
学校の先生からイタリアの飛行機の雑誌を借りて目を輝かせる二郎。
家に帰って夢中で読んでいると、幼い妹の加代が遊んで欲しいと纏わり付いてきます。
兄妹同士で敬語を使ってるのがきちんとした感じと昔っぽさを感じさせて好きでしたー
二郎の母も日本髪で上品なお母さんだったし、旧家なのかな?
実際の堀越二郎の事は全然知らないけどお金持ちだったんでしょうかね?
その夜星を眺めながらまた夢を見た二郎は、夢の中で
イタリアの飛行機技師、カプローニ伯爵に出会います。
カプローニは「近眼でもパイロットになれるか」と聞く二郎に、
自分もパイロットになりたかったが諦めた、設計士になれば良いと言い、
「飛行機は戦争の道具なんかじゃない、美しい夢を見せる物だ。
設計士は夢を形にする者だ」
と教え、二郎はその時から自分だけの美しい飛行機を作る事を夢見るようになります。
物語中、要所要所でこのカプローニが登場しますが、
事前情報ほど彼の存在は重要とは思わなかったなー
かといって物語の中で有機的な働きをしていないという訳ではなく、
リアルな物語の中にファンタジーのエッセンスを盛り込む、位の役割が
ちょうど良い感じがします。ラストシーンで出てくる時はさすがに大事な役所ですが。

数年後、東京の大学に進学した二郎は、東京へ向かう列車の中で関東大震災に遭い、
その2年後には学友の本庄と共に飛行機製造会社に就職、
飛行機の先進技術を持つドイツにも渡り、
不景気や大恐慌、戦争など、様々な挫折や矛盾とぶつかりながらも夢を追い続けます。

ですが私が本作で何より心打たれたのは二郎の夢ではなく、恋。
薄幸の美少女菜穂子と二郎の純愛がとっても素敵でした!
二人の出会いは東京へ向かう列車のタラップ(で良いのか?)。
本を読む二郎、そこへ一つ隣の客車から富裕な家の娘菜穂子が女中のお絹と共に
「凄いわ!良い気持ち!」と出てきます。
少女時代の菜穂子、モダンガールの少女版みたいなおかっぱに帽子とお洋服姿が
めちゃくちゃツボでしたーvvモダンガールファッション大好き!
「お嬢様、帽子が飛びます」というお絹さんも対照的な着物姿が慎ましくて素敵v
そして二郎の帽子が飛ばされたのを菜穂子が受け止めて「セーフ!」と言うと、
二郎も「ナイスキャッチ!」と返します。そこで菜穂子が多分フランス語?で、
冒頭の風立ちぬの詩句を言い、二郎もそれに習います。
「風が起こった。生きよと志さねばならない…」と先ほどの言葉の意味を反芻する二郎。
その時突然大地が大きく揺らぎ、未曾有の大震災が起こります。
足を骨折したお絹を上野の菜穂子の屋敷までおぶって送り届ける二郎。
かっこよすぎるじゃろ!

二人が再会するのはその何年か後、高原の避暑地でのこと。
丘の上でキャンパスに絵を描く美しく成長した菜穂子、
そこに突風が吹き、飛ばされたパラソルを
通りかかった二郎が何とかキャッチ、「ブラボー!」と叫ぶ菜穂子。
ドラマチックな二度目の出会いが素敵でしたー
二郎があの時の恩人である事に気づいた彼女は彼に
「あなたは私とお絹の王子様だったのよ」と打ち明け、
二郎もまた菜穂子に惹かれ、彼女の父里見に正式に交際したいと申し込みますが、
菜穂子は2年前母を亡くしたのと同じ結核の病にかかっており…
「私、必ず治します。あなたと生きたい。
それまで待ってて下さる?」
という菜穂子に二郎は頷き、
「ずっと君を愛していた。僕の帽子を受け取ってくれた時から」と言うと、菜穂子も
「私も、あなたが風を起こしたときから」と告白、二人は晴れて婚約することに。
丘の上で絵を描く菜穂子に二郎がキスするシーンは、
さりげないけどとっても爽やかで印象的でした。
あと二人の恋からは外れますが、この避暑地のホテルに泊まっている
陽気なドイツ人、カストルプ氏もとっても良い味が出ていて好きですー
ドイツはまた戦争をするのですかと尋ねる二郎に
「日本、破裂する。ドイツも破裂する」と冷静に状況を受け止めた言葉を返しながらも、
どこか飄々とした謎めいたカストルプ氏、
声優のスティーブン・アルパートさんの演技がまた良い!
里見もダンディで娘に理解があって、余裕のある家の主人らしい感じが好きです。

けれど東京にいる二郎の元に菜穂子が喀血したという電報が入り、
病気を治すため山の上の療養所に入った菜穂子ですが、
自分に残された時間が短いと悟った彼女は山を下り、二郎の下宿へやってきます。
菜穂子の喀血シーンは背景が穏やかな景色だけに、
余計に二人の間に立ちふさがる不幸の陰を色濃く感じさせて痛々しかったです。
それまで飛行機の事だけを考えてどこか超然とした印象だった二郎が
知らせを聞いて初めて涙をこぼし感情を露わにするシーンも切ないです。
二郎の下宿先の主人で二郎の上司の黒川に仲人をつとめてもらい、
客は黒川とその夫人だけのささやかな結婚式をあげる二郎と菜穂子。
黒川夫人に手を引かれて二郎と黒川の待つ部屋に入ってくる花嫁衣装の菜穂子の、
半分人間でなくなったかのような透き通るような美しさがとても印象的でした。
今にも消え入りそうに儚げなのに、輝くばかりに美しくて。
その後の初夜のシーンもとても上品なのに情熱的で好き。

けれど二郎は新型の飛行機を作るために忙しく、毎日帰るのは夜中になってから。
黒川に仕事を辞めて菜穂子のそばにいてやれないならそれはエゴでは無いのかと言われ、
「僕たちは一日一日をとても大切に生きているんです」という二郎。
医者になるために大学へ通う妹の加代も菜穂子とすぐに仲良くなり、
「菜穂子さんは元気に見せるために毎日お化粧して紅をさしているのよ」
と二郎を責めますが、菜穂子はただ二郎と過ごせる時間だけを慈しむように
二郎に寄り添います。けれどそんな静かな幸福にもやがて終わりの時が来て…
菜穂子の決断に黒川夫人が
「自分が一番美しい姿だけを愛してる人に見せて行ったんだね」
という台詞と、ぼろぼろ涙を流す加代のシーンで目の奥が熱くなりました。
芯が強くてしっかりした加代のキャラクターも好きだなあ。

そして終幕、自分が作ったゼロ戦の残骸の中に佇む二郎の前に再びカプローニが現れ、
初めて出会った時と同じ野原で
「君が来るのを待っていたよ」と言います。
壊れた飛行機と遠景に見える燃えた街だけで終戦を感じさせる描き方が、
戦争シーンをじっくり描くよりも遙かに戦争の悲惨さや凄惨さを物語っていて、
凄く上手いなあと思わされました。
「彼女も君をずっと待っていたよ」というカプローニの向こうに、菜穂子が現れます。
菜穂子は言います。「あなた、生きて」と。
カプローニの言葉で死後の世界かと思わせて、
安易にそうでは無い所が凄く良いと思いました。
「君は生きなければ」とカプローニは言って去っていきます。
大切な人を亡くしても、夢を失っても、それでも人は生きなければならない、という、
この映画のメッセージが伝わってきて、なにより
ただ愛する人に「生きて」ほしいということだけを望む菜穂子の献身に
強く胸を打たれました。
あまりにも健気な菜穂子の心にのせて
人を愛すると言うことの意味が圧倒的な純度を持って描かれていて、
私はこのお話を限りなく純粋なラブストーリーとして楽しみました。

そして言っておくべき事は、この映画に描かれている日本の自然の美しさ!
冒頭の二郎の故郷の田舎の瑞々しい田園風景や、
菜穂子と出会う高原の木々の緑や清らかな水の描写の美しさと言ったら!!
タイトル通り吹き抜ける風を感じさせるシーンも何度もあって素敵ですが、
私は菜穂子と土砂降りの中相合い傘をして帰るシーンもとても美しくて大好きでした。
トトロやぽんぽこなんかのジブリ映画に共通する、
今は失われた美しい自然を懐かしむ気持ちが表れているなあと思います。
もちろんレトロモダンな雰囲気大好きな私としては、
東京の菜穂子の自宅付近の洋館や復興を始めた街や
そこを行き交う人々といった描写もとっても楽しめましたー
画面を横切る束髪の夫人の和服の鮮やかな柄とか、いちいち反応してときめいてました。
ドイツの町並みやサナトリウムに降る雪の描写なんかも好き。

とにかくポニョでは正直かなり失望させられましたが、
今回は紅の豚の時のような好きな物を好きに描こうという宮崎監督の気概と、
その頃より更に円熟味を増した実力を感じさせられました。
ユーミンの歌う主題歌ひこうき雲も、
ちょっと短かったですが物語に合っていて希望を感じさせて良かったです。
宮崎映画特有の空への憧れと自然を懐かしむ気持ちに、
儚い恋の要素をプラスして、まさにタイトル通り
一遍の美しい詩のような映画になっていると思います。




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小雨
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職業:
大学生
趣味:
読書、映画鑑賞
自己紹介:
7月15日生まれのかに座、A型。
めんどくさがりでものぐさ。

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