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雨の通り道

5月16日作成 管理人・小雨がオリジナル・版権イラスト、日記などを雑多に書いているブログです。

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オペラ「アラベラ」について


絵は小学生の時文通してて偶然mixiで近況知り合ったお友達への贈り物に描いたエアリス。
エアリスの髪型可愛いけど難しくて苦手ですー;;


BSプレミアムでやってたR・シュトラウス作曲のオペラ「アラベラ」観てましたー
その前にやってた
R・シュトラウスのオペラのヒロイン達を解説したドキュメンタリーも観ましたが
こっちも面白く興味深い内容で良かったですー
R・シュトラウスって19世紀の人だと思ってたけど
第2次大戦後まで生きてた人だったんですねー驚き。ナチス時代に
「私は何か行動するときドイツ人だと思うことはない。
人間は才能のある者と無い者の二種類だけだ。
私は全ての国民を観客だと思っている」
という書簡?を残していたという話に感銘を受けました。
才能のある者と無い者~は凄い台詞ですが、自身が天才だからこそ言えた言葉だなあと。
シュトラウスの描くヒロイン達を歌う時の心情を語る歌手達の思いも
それぞれ興味深かったです~

で、アラベラですが、とっても良かったです!
シュトラウスとコンビを組んでいくつもヒット作を作ったホフマンスタールの台本が
凄く綿密で、喜劇なのに凄く深い。
j・シュトラウスのこうもりなんかはまさにシャンパンが弾けるような
一瞬で消える他愛もない刹那的な喜劇で、それも悪いとは思わないし好きだけど
このアラベラは計算され尽くした台本のせいで
軽妙な喜劇の中にも人生の妙味が織り込まれていて、観た後もじんわりと心に残る感じです。
19世紀と20世紀という台本が書かれた時代の差もあるんだろうなあと。
登場人物達の行動や造形がとても説得力があって、
こういう理由でこういう生い立ちがあるからこういう行動に出るんだ、と
凄く納得できる感じです。
ヒロインのアラベラについて言えば、
伯爵家とは名ばかりの没落貴族の娘ながら際だった美貌に生まれ
求婚者が絶えずいつも男性に囲まれている社交界の花だけれど、
それゆえ本当の恋を知らず、色々な男性の間をふらふらとしている…という役柄ですが
こういう風にいつも男にチヤホヤされてたらそりゃこんな性格になるよなーという感じで。

筋立てだけ聞いただけでも凄く練り込まれてて面白そう!と思わせるストーリーが最高です。
登場人物もそれぞれ味があって面白かったですー
占い師に破産寸前の伯爵家の未来を占わせる
アラベラとズデンカの母であるヴァルトナー伯爵夫人アデライーデ、
お金がないのにギャンブルをやめられないヴァルトナー伯爵、
つれないアラベラに恋い焦がれるあまり自殺まで考える純情すぎる青年士官マッデオ、
ハンガリーの大地主で腕っ節の強い無頼漢マンドリカ…
しかし何と言っても娘二人を着飾らせるお金がないため男として育てられた
アラベラの妹ズデンカの純粋さが異彩を放っています。
姉に相手にされず自殺を考えるほど思い詰めている愛するマッデオのために
姉の身代わりとなって身を任せるズデンカの清らかさに涙が出そうになります。
真実が明るみに出、恥ずかしくて生きていられない、
今すぐドナウ川に身を投げますと歌うズデンカちゃんが天使すぎる…
一途で穢れないズデンカの聖性が周りから浮かび上がるのではなく、
そんな彼女の魂に周囲が感化されていくのが凄く良いなあと思いました。
真実を知ったアラベラが
「あなたは本当に良い子ね。私は本当に教えられたわ。
愛は欲しがったり比べたりする物ではないと…ただ愛するべきだということを」
と歌うシーンはとっても感動的。
ラスト、アラベラの不貞を疑ったマンドリカをアラベラが許すシーンも、
大げさでなくとても人情味があって素敵でした。

歌手については、アラベラ役のルネ・フレミングもさすがベテランといった感じの
円熟の歌と演技でとても良かったですが、
ズデンカ役の歌手もとっても良かったです~
男として育てられたという設定のため男装して歌ういわゆる「ズボン役」なのですが、
細くて顔立ちが上品で、ハマり役でした~まるでモデルみたいな美女!
男装の麗人という言葉がぴったりでした。そこらのヅカスターよりよっぽどかっこよかった。
「フィガロの結婚」のケルビーノにしてもそうですが、
オペラはやはりズボン役が魅力的でないと観る気が起きませんよねー。
衣装や装置もとても品があって素敵でしたー
第1幕のアラベラ達一家が住んでいるホテルの部屋とか、
モスグリーンと白を基調にしたセットが落ち着きがあって。
役ごとにテーマカラーが決まっているのも良いなあと思いましたー
アラベラの第2幕の舞踏会での晴れ渡った空を思わせる目の覚めるようなブルーのドレス、
サテン地の他に袖のフリルだけシフォン地が使われていたり素材感にもこだわりがあって、
とっても素敵!少しトレーンを引いてるのも好きですー
アデライーデ伯爵夫人のテーマカラーの落ち着いたグリーンも好みで、
第1幕のデイドレスも第2幕の舞踏会用のドレスも品が良くて素敵でした。
ただズデンカが最後まで女装が無かったのが残念だったなー
男だと思われていたズデンカが最後に美しい娘姿で現れる、というのが
お約束だけど最高のカタルシスになって良いと思うのになー
演出にもよるのでしょうか。女装するverもあるのかな?
あと舞踏会シーンがあると聞いてめちゃくちゃテンション上がったのに
男性コーラスが女性と踊っているふりをしているだけの演出にはがっかりでした…
予算の関係なのでしょうが、ここはやはり色とりどりの華やかなドレスを着た
美しい社交界の女性達が舞い踊る姿を見たかったな…

最後不満になってしまいましたが、とにかくとっても上手くできたオペラで、
音楽も甘美だし凄く良かったです。
GWにブックオフで同じくR・シュトラウスとホフマンスタールのコンビのオペラ
「ばらの騎士」の解説本付DVD買ってあるので、
こっちも観るのがより一層楽しみになりましたー
軽妙だけどほろりとさせられる、上質なロマンチックコメディの様なアラベラ、良かったです!

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小雨
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読書、映画鑑賞
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7月15日生まれのかに座、A型。
めんどくさがりでものぐさ。

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