雨の通り道
5月16日作成 管理人・小雨がオリジナル・版権イラスト、日記などを雑多に書いているブログです。
久々のホラーとコバルト文庫11月の新刊
- 2018/11/02 (Fri) |
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ホラー小説大賞大賞受賞作、「ぼぎわんが くる」が凄く面白かったので、
図書館でかなり前から?予約していた同じ澤村伊智さんの「ずうのめ人形」やっと読みましたー
呪いの日本人形というホラーでは使い古された題材を
どう料理してくるのか楽しみにしていたのですが…
ぼぎわん~と同じ登場人物が出てくる続編?的な作品という事で仕方ないのかも知れませんが
ホラーと見せかけて家族に自分勝手な理想を描き子供を好き勝手に扱う父親、という
ぼぎわん~でのイクメンを気取っていながら自分の自己満足だけで動いていた男を
妻の視点から書く重苦しい視点と同じようなテーマを扱ってくる感じが、
純粋なエンターテインメントとしてホラーを楽しみたい私にはちょっと重くて残念だったかな。
その割にはその自己満足で最低な父親と
重苦しい家庭から逃げたくてホラー小説や映画に傾倒する少女、というテーマも
ぼぎわん~ほど突っ込めていなくて、
主人公の僕こと藤間の読む原稿を書いた里穂の苦悩やよりどころの無さに
藤間が共感する所も、藤間の背景が里穂と同じような環境であった事を示唆するだけで
具体的なエピソードなどは語られないので、いまいち薄っぺらく感じてしまいました。
でもぼぎわん~は子供を産めない体の真琴と野崎の葛藤とかもかなり詳細に書かれていて
共感はしたけどとにかく重かったので逆にずうのめ人形位の塩梅の方がちょうど良かったかも。
ちなみに私はぼぎわん~の登場人物名をさっぱり忘れていたので
真琴と野崎がぼぎわん~にも出てきた人物な事も分からず、
ずうのめ人形が続編的な作品である事も知らなかったので、その2作品の構成の類似に
この作者さん2作目にして早くもマンネリか?と思いながら読んでいました^^;;
ゆかりちゃんの語るずうのめ人形の話に
どんな陰惨ないわくがあるのかを凄く楽しみに読んでいたのに、
結局単に里穂が作り出したよく分からない力を持った呪いでしかなかった所とか、
都市伝説が伝播する怖さとかももっと掘り下げて欲しかったし、
全体的に思ってたより恐怖が少なかったのは残念でしたが
どちらかと言えばホラーというよりイヤミスっぽい感じな所が気に入りましたー
戸波さんの性別と正体は全く見抜けなくて、
辻村ゆかり(=来生里穂)の過去のいー君やゆかりちゃん(=アキ)への仕打ちを
淡々と冷徹に暴いていく所は最後の最後で凄く爽快感ありました。
ラストもどちらかといえばハッピーエンド寄りのバッドエンドなのに、
全ての元凶となった里穂が何の罪もない幼い息子共々呪いに殺されるという因果応報に
とてもすっきりしてしまいましたー
これはラストのこのどんでん返しのためにある作品だなと思いました。
呪いの日本人形という存在が全く怖くなかったのはアレですが、
ミステリーとして読めばかなり満足度は高かったです。
コバルト文庫は11月1日発売の
はるおかりのさんの「後宮剣華伝 烙印の花嫁は禁城に蠢く謎を絶つ」読みましたー
はるおかさんの後宮シリーズ売れてるみたいなのでまだまだ続くと思ってたのに、
カバー見返しの挿絵の由利子さんのコメントで最終巻と知ってびっくりしましたー
でも第一部終了でまだ続くとの事なので、続きは電子で出るのかな?
ともかく後宮シリーズ毎回サブタイトルに謎が入ってたりミステリ推しみたいに売ってるのに
いつもとんでも理論だったりミステリと言いながらただのファンタジーだったりするのに、
今回はその辺は最終巻という事でかなり練られてて、
特に第一章の哀美人の陰謀はなかなか考えられてて良かったですー
主役カップルの宝麟と勇裂も慎ましやかな美人と見せかけて脳筋気味な皇后様と
やんちゃ系年下夫皇帝、という組み合わせがなかなか可愛くて、
宦官と女官として出会ってお互いの正体を知ってからの心が通じ合った2人のやりとりが
安定の糖度で良かったですー
宝麟が自分の横っ面をはり倒したいと言っていたのを思い出して自分を殴らせた勇烈が
「平手だと思ったら鉄拳とはな!」と笑ったら宝麟に「平手でやり直しましょうか?」と言われて、
「い、いや!そなたの気持ちは充分伝わった!」と慌てる所とか笑いました~
2人で初めて口づけする所とかも年下夫の勇烈の初々しさ炸裂で甘甘で良かった。
今回はいつもよりラブラブの主役カップルを差し置いてどんどん不幸になる脇役達、
という胸くそ要素も控えめで、所々ちゃんと救いがあるのも良かったです。
宝麟の斑貴妃への心遣いもちょっとお人好しすぎて嫌味だなーと思わないでもなかったですが、
これまでは上辺だけ模範的な皇后を演じていただけだったけど、
真に他の妃濱達を思いやれる皇后になろうと決意した宝麟が頼もしくて良かったですー
共太后に殉死させられたと思っていた生母湖氏の真実を知って自暴自棄になる勇烈を
実力行使で止められる宝麟もかっこいい!!
そして相変わらずはるおかさんは後宮の三千の美姫達の美貌の描写や情景描写、
心理描写に至るまで本当に美文で、比喩も巧みで最初は惚れ惚れしながら読んでたのですが、
余りにまんべんなく美しすぎる文章に中盤くらいから胸焼けがしてきました^^;;
もう少し引き算を覚えれば印象的なシーンをより効果的に出来るのにな~と思いつつ、
宦官に扮した勇烈が初めて氷滑(スケート)をする宝麟を見初める所の文章とか、
摂政王の
「女人は燃える水だ。水の様に冷たく見えても種火が有ればたちまち燃えさかるが、
火傷したと思ったときには溺れ死にさせられそうになっている」
という例えとか凄く好きでしたー
摂政王と共太后の真実も良く考えられてたし、
本当いつもこの位救いがあってえぐみが無ければもっと一般ウケしそうなのになーと思わせる
手堅いまとめ方で、最終巻らしくシリーズ中でもかなり完成度の高いお話で良かったです。
共太后の挿絵も美人さんだったvv
巻末のシリーズ一作目後宮詞華伝の淑葉と夕遼の描き下ろしイラストも感慨深かったですー
でもいい加減家系図もこんがらがってるし
紙で出てくれれば続きも買うけど電子のみになるなら電子書籍苦手だから離れるかな…
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7月15日生まれのかに座、A型。
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