雨の通り道
5月16日作成 管理人・小雨がオリジナル・版権イラスト、日記などを雑多に書いているブログです。
引き続きオレンジ文庫日記だよー
- 2022/08/11 (Thu) |
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ブイっ
徒競走のタイムが聖夜より良かった事を自慢する粉雪
粉雪はそり引きトナカイ養成所での成績は下の中位の劣等生だったけど、
唯一足の速さだけは一番(馬鹿だから)
俯瞰構図や顔のバランス等上手く描けて気に入ってます~
ブックオフオンラインで買った松田志乃ぶさんの集英社オレンジ文庫
「ベビーシッターは眠らない 泣き虫乳母(ナニー)・茨木花の奮闘記」読みました~
前作「赤ちゃんと教授 乳母猫より愛をこめて」が面白かったので
ちょっと高かったけど買ってしまったのですが、
前作同様フェミニズム的なメッセージも有りつつ、
更に児童福祉の問題にも触れていて
ちょっとトリイ・ヘイデンのノンフィクションみたいな雰囲気のシーンもあって面白かったです~
前作のヒロイン鮎子も良かったけど、
鮎子はスーパー乳母として完璧で隙がない感じだったので
今回の主人公・花の家事・育児スキルは完璧だけど
以前働いていた家で家長のセクハラに遇い
お世話していた長女の中学受験を失敗させてしまったと負い目を感じている所や、
乳母になる前は養護施設で働いていたけど、
オーバーワークの連続で
自分には十分な仕事をし続けることは難しいと判断して辞職した過去がある所など、
迷い傷付くごく当たり前の人間としての面がある所が
より共感出来る主人公になっていて良かったです。
一話目「わたしの乳母は良い乳母」は、
七海のオンライン誕生会で
「本当面の皮も厚ければ化粧も厚いわ~ファンデーション浮いてるわよ」
「お義母さまこそ、イエローベースのお肌にピンクがかった青のワンピースを着るって、
自殺行為じゃありません?」
と嫁姑戦争を勃発させる明日香と一二三の母のやりとりに笑いました。
七海が誕生日プレゼントにリクエストした「ラッキーちゃん」を明日香が間違ってしまって、
七海が「ママは何でも忘れちゃうんだね」と怒りを爆発させて眠ってしまい、
一二三と明日香と七海の去年家族旅行で行った水族館での思い出と
明日香の熱海の温泉宿で生まれ育ち東京の地元の名士である大和家に嫁ぎ、
都議会議員にまで上り詰めながら
女性であるがゆえに思うように仕事が出来ない鬱屈が語られる所は、
「私はどこまでも男なのよ」と語る明日香ほど成功した女性でさえ
成功や栄光と言った輝かしい物は「男性」の物であるとカテゴライズしてしまうのだ、
と思う花の所が考えさせられました~
水槽の前で七海に先程聞いたラッキーホースというタツノオトシゴの生態を
優しく語ってあげている明日香はどこにでもいるごく普通の美しく優しい母親に見えた、
という一二三の目線はその光景が目に浮かんでくる様で、
「人間もそうなら良いのにね。オスも子供を産んでみれば良い。
変わるしかなくなる事が分かるでしょう」と七海に語る明日香の言葉や、
花との電話で、七海を産んだときはただただ疲れていた、
その後の育児でも母乳育児を諦めて姑に嫌味を言われたり、
仕事に復帰しても最低限の身なりしか出来なくなり、
ママになったんだから仕事は減らして育児に専念してもらわなきゃ、と重要な仕事から外され、
一方父親である一二三はパパになったんだからバリバリ働いてもらわなきゃなあ、と
どんどん仕事を任されるようになり…という明日香の独白から
女性と男性に求められる役割の違い、女性が育児をしながら元通り働くことの難しさ、
そして妻である明日香から削った分の仕事は
夫である一二三に回せば帳尻が取れるだろうと思っている男社会の矛盾など、
国民の生活を変えるのが仕事の政治の世界でさえそう言った男女差別がまかり通っている
現代の女性の立場の弱さをとても感じて息苦しくなりました…
でもそれら全てを聞いた花が
「七海さんの歯が虫歯一つ無いのは明日香さんが毎日磨いて毎月検診を受けさせてくれたから。
七海さんの肌が柔らかいのは明日香さんが一生懸命クリームを刷り込んでくれたから。
子育てって外からは大きく成長したという見た目でしか見えないけど、
七海さんの一つ一つが明日香さんが心を込めてお世話してくれた時間で作られているんです。
七海さんを見ていれば明日香さんが七海さんを愛している事がちゃんと分かります」と、
うろ覚えなので本当はもっと良い台詞なのですが明日香に言ってあげる所は、
明日香と一緒に私も読んでいて泣けてしまいました~
子供を育てるって、お母さんのそういう努力一つ一つが重なって
成長していく子供を形作っていく事なんだなあとしみじみしました。
後日明日香のつてで以前花がセクハラ被害で辞めることになった家の長女の手紙が届くラストも、
前向きな長女の楽しい中学生活が綴られた手紙に
花が涙を流す所が暖かい終わり方で良かったです~
二話目「迷い子たちはお菓子の家の夢を見るか?」は
七海のスイミングスクールのクラスメートの櫂と母親の敦子が
実の親子では無いのではないかと気付く花の推理から、
七海と一緒に敦子に自宅にお呼ばれされた花が
敦子に自分達夫婦と櫂とは里親と里子の関係で、
櫂にもそれは話してあるのだと言う事実を知らされ、
「私達にはいつ別れが来るか分からないから、櫂とはいっぱい思い出を作ろうと思ってるの。
端から見たら必死に見えるのかもしれないけど」と言う敦子に、花が
「櫂君、このお家で凄く伸び伸びと楽しく過ごしていて、
それが夫さんや敦子さんにも伝わって楽しさが循環して。
それを凄く感じます。敦子さん達は凄く素敵な親子ですよ」と言ってあげる所良かったです~
前述の明日香への台詞もだけど、
花の自身も子育てのプロとして、子供を育てる難しさや苦労を分かった上で、
明日香や敦子達親達に心から賛辞を惜しまず、寄り添う優しさにとても感動しました。
その後櫂が産みの母親の意向で急に敦子達夫婦から引き離され、
一時保護施設に移される事になる展開には胸が痛みました~
ショックを受けた花が学生時代ボランティアで訪れていた養護施設にいた、
母親と義父に良い子になるまで家族には迎えられないと言われ、
一時帰宅の前はいつも楽しみで仕方ない様子なのに
一時帰宅から帰ってくる時にはいつも暗い顔をしている少女の事を思い出すシーンは
まさにトリイ・ヘイデンのノンフィクションを読んでいる気分になりました~
養子縁組と里親の違いや、
都の児相が慢性的な人手不足で職員一人一人が手に余る仕事量を抱えていて
一つ一つのケースに十分な対応が難しい事など、
児童福祉の現状について語られる所は勉強になりました~
穏やかで気弱な花が
親になっても自分を変えようとしない身勝手な親達には怒りを隠さない所も胸を打たれました。
どんなにだらしない親でも、現在では産みの親の権利が絶対で、
櫂の様な子供達や敦子達里親はどんなに良好な親子関係を築いていても
いつ何時実の親の意向一つで引き離されるか分からないのだと言う残酷な現実や、
一時保護施設に行きたくなくて家出した櫂がスカイツリーの中にある水族館で
「何で僕のことを勝手に決めちゃうんだよぅ」と涙を流す姿に
今の児童福祉が抱える複雑な問題が浮き彫りにされていてとても胸が詰まりました。
櫂を見送ってからしばらく不安定になっていた敦子が
櫂の6歳の誕生日の12月26日にショッピングモールで偶然会った花に
「私は櫂と過ごした時間を、2歳の櫂を、3歳の櫂を、4歳の櫂を、5歳の櫂を、絶対忘れない」
と笑い、
モールに流れる1日遅れのクリスマスソング、
「今年のクリスマスはそう多くは望まないわ
サンタさんがくれるおもちゃなんかで誤魔化さないで
私が欲しいのはあなただけ…」と歌の流れる中で
再婚する予定だった相手が摘発され、櫂の措置変更を取り下げた実母の意向で
再び敦子夫婦の元に里子として帰れる事になった櫂が
ツリーの下で敦子と抱き合うラストはガチ泣きしました…(*;д;)ノ
マライアのクリスマスソングがもう悲しくは聴こえない、と思う花と
一時帰宅が実現するか分からなかったのでサプライズにしていた敦子の夫と一二三、
そして一二三の先輩の宮さんも良かったです~
ハロウィンに始まり1日遅れのX'masに終わる胸に沁みる感動的なお話でとっても良かったです~
松田さん、コバルト文庫の悪魔のような花婿シリーズが大好きなので
オレンジで現代物書くようになっても求めてるのはソレジャナイ感あったのですが、
こういう現代の親子や情勢をテーマにしたお話もやっぱり上手くて、
少女小説とは違った問題提起等にも考えさせられたし面白かったです~
元から筆力ある作家さんなので、やはり安心感あって良かったです。
子供の書き方も少女小説のデフォルメした感じを残しつつリアルになっていて
更に今回は新型コロナ後の世界を書いているのも新鮮でした。
上手い作家さんは何を書いても上手いんだなあとしみじみ。
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7月15日生まれのかに座、A型。
めんどくさがりでものぐさ。
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