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雨の通り道

5月16日作成 管理人・小雨がオリジナル・版権イラスト、日記などを雑多に書いているブログです。

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ウィーン国立バレエ団「こうもり」


久しぶりの観劇日記~。上野にウィーン国立バレエ団のこうもり観に行ってました~
しかしその前に文化会館4階の音楽資料室でアレッサンドラ・フェリのこうもり予習で観てたので
どうしても比べてしまいました…
どんなバレリーナでも女優バレリーナの演技には敵わないよ~
どうでも良いけど資料室でこうもりの後に白鳥の湖観たら
J・シュトラウスの音楽の後にチャイコフスキーの音楽は重厚に感じすぎて疲れました…
前置きが長くなりましたがつづきから今日の感想。

うーん…
白鳥の湖とか眠れる森の美女なら今まで散々観てて音楽の順番までしっかり頭に入ってるから
このシーンはこうだなーとかここはこうくるのかーとか、
今まで観た中から比べたりして感想がいくらでも書けるのですが、
こうもりは定形が無いというか、オリジナル一本しか無くてそれがずっと保たれてるので
他と比べたり出来ない分感想が沸きにくいです…
アレッサンドラ・フェリのこうもりはミラノスカラ座の物だったので、
ウィーン国立バレエ団とセットとか衣装とかどんな風に違うのかなーと楽しみにしてましたが、
振り付けが同じ物は装置とか衣装も決まった感じになるらしく、ほとんど一緒でした。
でもその上で微妙な違いを見つけるのが楽しかったです。

第一幕、お馴染みのこうもり序曲にのせて幕が開くと、
360度広がるながーい黒っぽい紫のドレスの女性の裾を
正装姿の男性達がつかんで輪になって回しています。
女性の顔を半分隠す大きなつばの黒い帽子がとってもエレガント。
面白い幕開けだな~と感じました~これは女性よ美しくあれという女性賛歌の様にも思えました。

場面は変わってウィーンの中流階級の家庭の居間、
この家の貞淑な妻ベラがメイドと共に夕食の支度をしています。
ベラ役のイリーナ・ツィンバルは高雅な美人。
でもアレッサンドラ・フェリの目力に比べるとちょっと印象が弱い感じ。
演技もフェリに比べて控えめというか、もう少しオーバーアクションでも良かったかな。

女の子3人、男の子2人の5人の子供達は東京バレエ学校の生徒みたいでしたが、
女の子のエプロンドレス可愛かったです~エプロンに水玉が入ってて。
下ろした髪に結んだ青いリボンも少女らしく可憐ですv

ついつい子供達ばっかり目で追ってしまいましたが、
そこへベラと夫ヨハンの共通の友人ウルリックがやってきて、
ベラに何故かはさみをプレゼント。
ウルリック役のデニス・チェリヴィチコのソロ、
テクニック的にも演技的にももっとはじけた感じが欲しいなあ。
この家の主人・ウラジーミル・シショフ演ずるヨハンも帰ってきて、みんなでお食事。
ベラとヨハン、ウルリック、子供達が
高速で手をぐるぐるさせてパスタを食べてるマイムの所面白かったですv
最後にみんなで両手を挙げてポーズ!

ヨハンのためにスリッパを持ってこさせて履かせてあげようとするベラに、
ヨハンはスリッパを突き返して冷たい態度。
ベラの悩みは夫ヨハンとの倦怠期なのです。
新聞も乱暴に投げ捨てるヨハン、
この辺の演技は倦怠期の夫というより横暴な夫という感じでした。

子供達がいなくなると、ベラはヨハンに甘えた態度ですり寄りますが、ヨハンは煩わしそう。
優美な音楽にのっての二人のデュエット、ヨハンの妻ベラの気持ちに応えたいけれど面倒、
そんな倦怠期感が出てました。
早々とベッドに入って寝入ってしまうヨハンに
勝負下着ならぬネグリジェ?でキメたベラが肩すかしな様子で肩をすくめて自分もベッドに入りますが、
手を伸ばしてみると
隣にいるはずのヨハンは何と背中にこうもりの羽をつけてどこかへ飛んでいってしまいます!
この辺は演出が凄く楽しいです~ヨハンがワイヤーで吊られて羽ばたく仕草する所とか、
ユーモアに溢れてて観ててとっても面白いです。

悲嘆に暮れるベラはあちこちへ電話し、ウルリックが駆けつけます。
ウルリックの提案で美しく変身して夫の後を追うことにするベラ。

メイドに手伝わせ衝立の影で着替えるベラ、
出てきたのは見違えるように艶やかでで魅力的な美女。
…という設定なのですが、絵にも描いたこの衣装、誰にでも似合うという物でもなく、
フェリは実に見事に着こなしてましたがツィンバルは…
決して似合わない訳では無いのですが、ぱっと華やかな花が咲いたよう、とは言えず…
アイメイクのせいかなぁ…もっと目力強調しても良いと思うのですが…
とにもかくにも夫の後を追ってカフェマキシムに向かうベラ。

カフェマキシムでは三人のウェイター達が茶目っ気たっぷりに踊っています。
この3人も、準主役級の美味しい役どころなのですが
踊りは可もなく不可もなくという感じで、もうちょっと盛り上げて欲しかったです。
何か全体的にこのバレエ団男性の踊りが弱い感じがするのですよねーもう少し力強さが欲しい所。
踊り子達のカンカンに集まった貴紳淑女達の踊り、
そしてヨハンがやってきていつもの様に夜遊びに興じていると、
謎の美女に扮したベラが登場、男性の視線を一身に惹きつけます。
ヨハンもこの魅惑的な女性が自分の妻とはつゆほども気付かず、情熱的に言い寄ります。
雷鳴ポルカにのってのヨハンのソロ、
テクニックの平均点は満たしてるのですがやぱり今ひとつ力強さが無くて、
へろへろした感じに見えるのが何だかなーしかしあの曲と長さを踊りきるのは体力いる事でしょう。

カフェマキシムのセットもミラノスカラ座とほとんど同じでしたが、
赤を基調とした照明と相まって雰囲気があってお洒落。
そしてスカラ座とは違い四本の鏡で出来た柱があるのが素敵です。
仮面舞踏会に出かけるベラの馬車の上にヨハンが乗ってポーズを決め、馬車は出発。
ここで第1幕終。
まるで舞踏会へ出かけるシンデレラの様にわくわくする幕引きで、とっても楽しかったです。


第2幕、チェッカー模様ときちんと剪定された木が描かれた装置をバックに、
繰り広げられるのは仮面舞踏会。
モノトーンでまとめられた男女の衣装がシックです。
チャルダッシュのアレクサンドル・トカチェンコは、
このバレエ団のダンサーとしては男性らしく良い意味で重量感のある踊りで良かったです。

そこへワインレッドの衣装に身を包んだベラが現れ、ここでも男性の注目を一身に集めます。
ここでベラのソロなのですが、何とバッドタイミングにも地震発生。
震度3位の結構強い揺れでしたが、
表情一つ変えずに優雅に踊り続けるツィンバルに拍手を送りたかったです。
余談ですがケータイをオフにしていなかったら地震警報のきゅわんきゅわんきゅわん…という音が
結構長い間私のケータイから鳴り響いてしまい、周りから非難の目で見られて焦りました;;
ケータイオフにしようにも仕方が分からず…;;
自分のケータイの電源の切り方位知っとこうと思いましたorz
にしても地震来るかもなーとは思ってましたがまさか主役のソロの場面で来るとは…
踊りが良かったかははらはらしてたのであんまり良く分かりませんでした(^_^;)

ヨハンは居並ぶ男性をかきわけベラに猛アタックしますが、そこで警官が登場し、
ヨハンは捕らえられてしまいます。
ここでヨハンを取り囲む人々の動きが止まり、照明も落ちて
ヨハンが再びこうもりの羽をつけてしばらく宙づりになるのですが、
ここも音楽と相まってとっても効果的で面白い演出でした。
宙づりになったヨハンのキスをかわして走り去るベラと、連行されるヨハン。

所変わって刑務所の檻の中。檻の柵の影が舞台に落ちていてコンテンポラリーダンスの舞台の様。
失意のヨハンの元に黒い外套を身にまとったベラが迎えに来て、
ヨハンはようやく自分が熱心に言い寄っていた謎の美女が自分の妻だったことを知ります。
外套を脱ぐとベラは肌色の全身タイツ姿。
これは自分の心情をさらけ出したベラの胸中の表れなのかなーと思いました。
和解した二人のパ・ド・ドゥは、リフトとか二人の息がぴったり合っていて素敵でした~
しかし私はまた地震が来てケータイが鳴るんじゃないかと心配で入り込んで観られませんでした;;
最後にヨハンの羽をはさみでしゃきんと切り落とすベラ。これでヨハンはもうどこへも行けません。

家で眠っているメイドのはたきを使ってメイドと戯れるウルリックの場面は可愛かったですv
元の貞淑な奥様の姿に戻って家に帰ってきたベラ、
少し遅れてヨハンも疲れ果てたように帰ってきます。ベラにスリッパを履かせてもらうヨハン。
冒頭のシーンと好対照を成しています。
再び優美な音楽にのっての二人のデュエット、今度はヨハンはベラに許しを請うように素直。

めでたしめでたし…と思いきや、
所変わって四本の鏡の柱があるボールルームで
白いドレスの女性と燕尾服姿の男性達がこうもり序曲の有名なワルツの部分を踊っています。
そこへ黒いドレスを身にまとい再び美しく変身したベラとヨハンがやってきて、
最後にみんなで楽しくワルツを踊って大団円。
ベラの艶やかな黒のドレスが周りの女性達の白いドレスに映えて素敵です。
女性達の長いスカートの裾を手でつまんで踊る姿もとっても優雅ですが、
みんなでワルツを踊るところは優雅と言うよりはお祭り騒ぎ!といった雰囲気。
この最後にベラとヨハンがワルツを踊る所は知らなかった方が楽しめただろうなーとは思いましたが、
とにもかくにも文句なしのハッピーエンドに心は大満足!
最後のカーテンコールではエプロンドレス姿の女の子達ばっかり見てしまいました(^^;)

解釈的には色々出来そうなバレエで、もうちょっと深い所まで考えてみようかとも思いましたが、
結局は「妻はいつも魅力的でいる努力をしないと夫は飛んでいってしまうよ」とか、
「夫はあんまり夜遊びばかりしていると妻に羽をちょん切られてしまうよ」といった、
男女両方への教訓を振付家のローラン・プティらしいエスプリとユーモアで楽しく描き出した、
そんな感じがしました。
とにかくJ・シュトラウスの軽やかで優雅な音楽にのせて繰り広げられる、
底抜けに明るくてお洒落なバレエで、
ダンサーに多少不満はありましたがそんな事も忘れさせる位とっても楽しめました!
何と言ってもウィンナワルツの本場のダンサー達のワルツはとっても贅沢ですよね。
ワルツの香りに酔いしれる素敵な一夜でした。
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小雨
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職業:
大学生
趣味:
読書、映画鑑賞
自己紹介:
7月15日生まれのかに座、A型。
めんどくさがりでものぐさ。

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