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雨の通り道

5月16日作成 管理人・小雨がオリジナル・版権イラスト、日記などを雑多に書いているブログです。

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バーミンガム・ロイヤル・バレエ団「白鳥の湖」


昨日は上野にバーミンガム・ロイヤル・バレエ団の
ピーター・ライト版白鳥の湖観に行ってましたー
どっちにしようか迷った末来月の23日に東京文化会館でやる
モスクワ音楽劇場バレエのブルメイステル版白鳥の湖取ってたのですが、
王子役のマシュー・ゴールディングが観たかったのと
ロシア系より欧米のバレエ団の方が演出とか装置とか衣装とか凝ってるので、
どうしても観たくなってe+でエコノミー券が復活してたのをゲットしてしまいました。
結果、有り金はたいて観に行って良かったです。
踊りの純粋な美しさを観るならロシア系バレエ団だけど、
やっぱり欧米のバレエ団は装置や衣装や演出が魅力的。
オーストラリアバレエ団のくるみのDVDで観て良かったので
ゴールディングも生で観られて良かったです。
席も5階席の一番後ろの席だったけど、辛うじてサイド側でそんなに舞台から遠くなかったし。
眼鏡と双眼鏡で十分見えました。

ただなぁ…ゴールディングと共演予定だったジェンナ・ロバーツが来日後捻挫したとかで
オデット・オディール役が日本人の平田桃子さんに交代だったのが…
人種差別するつもりはないのですが、
やはり欧米のバレエ団を観に行くときは主役は欧米人が良いよ…
日本のバレエ団の白鳥ならまた別ですが、
オデットはともかくオディールはやっぱり西洋人の方が
日本人から観てストレンジャーっぽくてより一層魔性が際だって良いと思うのです。
日本人じゃどうしても現実に引き戻されてしまう…
と、会場入りの後の発表で知って相当がっかりしてました。
ゴールディングが怪我は念頭に置いてがっかりしないようにしてたけど、
予想の斜め上をいかれましたわ…
でも終わってみれば平田桃子さんプリンシパルとしての実力はあったし、
そんなに気にならなかったので良かったです。
ではこの時点で長いのですがつづきからレポ。


お馴染みのバレエの代名詞とも言える名旋律の序曲。
オケがいきなり音外し気味でしたが…
舞台の紗幕の向こうでは王子の父王である国王の葬列が粛々と進み、
女王が嘆き悲しんでいます。

幕が上がり音楽が明るく転調するとそこは重厚な宮殿のセット。
王子の友人の貴族達が王子の成人を祝っています。
宮殿のセット素敵だったー
バレエを観てるとおとぎ話の世界がふと現実に目の前で起こっているような
わくわくする感覚を味わうことがありますが、
王子の誕生日を祝って踊る友人達のワルツで早くもその感覚を感じて幸せな気分でした。
まず最初に王子の友人のベンノが登場し、次に王子役のマシュー・ゴールディングが登場。
貴族達の踊るワルツ、ちょっと数が少ないなーと思いましたが、
まとまってて良かったです。特に男性達のジャンプが高くて素敵。

喪中だというのにお酒を飲んで浮かれる皆の元に女王の訪れが知らされ、
焦って酒杯を隠すベンノ達。
何度も言いますが白鳥を観る時の大事なチェックポイントは王妃または女王の衣装なのですが、
ライト版は国王を亡くしたばかりという設定なので衣装は黒ずくめ。
それはともかく女王役のダンサーがあまりにも老いていて、哀れになるほどでした…
せめてもう少し背の高いダンサーにやらせれば良いのにこれでは萌えられない…
まあとにかく、女王は王子達をたしなめ、
やがて国王となる王子の花嫁候補の3人の姫君の肖像画を見せて
王子に明日の舞踏会で彼女たちの中から花嫁を選ぶよう言い渡します。
女王が去った後、憂愁にかられる王子のソロ。
王子の憂鬱な気持ちが良く伝わってきて良かったです
そんな王子を元気づけようと、ベンノが2人の高級娼婦とパ・ド・トロワを披露します。

パ・ド・トロワの第1ヴァリエーションのアンジェラ・ポールは
曲にあった明るく伸びやかな踊りでした。
ベンノ役のチュウ・ツ・チャオ、小柄であまり目立たない容姿ですが
踊りはダイナミックで良かったです。
ジャンプは高いんだけどもう少し滞空時間が長いと良かったかな。
でも颯爽としたマネージュとかは良かったです。
第3バリエーションの水谷実喜は曲調にあった軽やかでチャーミングな躍りで良かったです。
コーダは王子も加わって高揚感があって良かったですー

最後に宮廷の寵臣達が長い袖や裾を翻しての踊り、かっこよかった。
なおも憂鬱な気分が晴れない王子は、ベンノに誘われ湖畔に狩りに行くことに。
第1幕終。3分の舞台転換の後、休憩無しで第2幕へ。


第2幕、湖畔のシーン。
ロットバルト役のジョナサン・ペインは鳥の頭を模した兜を被り、梟のような羽を生やした姿。
王子は弓を構えて白鳥を射ようとしますが、白鳥は美しい乙女の姿に変わります。
オデット役の平田桃子は、
折れそうに儚げで脆そうな可憐で守ってあげたくなるオデットという感じでした。
観る前は日本人キャストに不満たらたらでしたが、
観てみるとこの儚げなオデットからオディールにどんな風に変身するのか
早く見てみたい!と思わせられました。
普通は省略されがちなオデットのマイムもちゃんと入っていて良かったです。
ベンノがオデットの姿を見ているのも、
ともすれば王子の幻想とも思える所をしっかり現実だと印象づけているのが新しいなと。
しかしオデットの侍女達の白鳥、数少なっ。18人位しかいませんでした。
1幕のワルツも人数少なかったし、特に女性が少ないバレエ団なのかな。
DVDで観る時はひたすら退屈な2幕なんですが、
生で観ると真っ白い衣装のダンサー達の織りなすバレエ・ブランの世界が
本当に素敵でうっとりさせられるんですが、もう少し数が多ければもっと良かったなあ。

オデットと王子のグラン・アダージオは…最初はおびえていたオデットが
次第に王子に心を開くようになり、二人の心が通っていく…
という大事なシーンだと思うのですが、
何度観てもこのグラン・アダージオの良さが全く分からない私は
バレエファン失格なのでしょうか。
それは抜きにしても、平田さんはやや緊張していた感じだったし、
ゴールディングは少し淡泊な感じで2人の心が通い合っていく感じがあんまりしませんでした…
あとグラン・アダージオで思いっきり音外したヴァイオリニスト出てこい。

小さな白鳥たちの踊りは揃ってたけど動きが小さい感じであまり感動しなかったなあ。
二羽の白鳥は大きく伸びやかな躍りで良かったと思います。
オデットのソロは…DVDでザハロワの白鳥とかを散々観てるので
どうしても見劣りしてしまうかな…
平田さん、小さくて可憐な雰囲気でカバーしてるけど叙情性はそんなに無いと思う…
でもオデットの個性に合ってるし、
持って生まれた可憐さも才能の1つだと思うのでこれはこれで良いかなという感じでした。
最後の鳥の羽ばたきを繰り返す所では
上手い方が踊ると本当に白鳥が羽を広げて羽ばたいているように見えるんですが、
今回はその感動は有りませんでした…
ともかく王子はオデットに永遠の愛を誓うことを約束し、
明日の舞踏会に来てくれるように頼みます。
オデットは再び湖畔へと帰っていき、
悪魔ロットバルトがよからぬ企みをしている所で第2幕終。


第3幕、宮廷の舞踏会。豪奢なセットが素敵でしたー
貴婦人達の黒と黄色を基調としたゴシック調の裾を引きずるドレスも素敵。
ファンファーレと共にハンガリー、ポーランド、イタリアの姫君が
各国の踊り手達を連れて登場。
お互いに相手と見つめ合って対抗意識を燃やしふんっ!と顔を背ける所は
英国のバレエ団らしい演劇性が出てて面白かったですー
舞踏会はまず姫君達がパ・ド・フィアンセの曲で少しだけ一緒に踊った後
各国の踊り、その後姫君達が一人ずつソロを披露するという形で進行します。
チャルダッシュは哀愁たっぷりのメロディをよく表現していて
雰囲気があって良かったです。独特の片手を頭に添えて踊る振り付けも印象的。
ハンガリーの姫君のエリス・シーは間を取った音楽をよくとらえていて良かったです。
マズルカはアップテンポの段々激しくなる踊りが楽しかったです。
ポーランドの姫君のサマラ・ダウンズは、
激しめの曲を体を大きく使って表現していました。
ナポリの踊りは陽気で明るい雰囲気で観てて楽しかったですー
イタリアの姫君の水谷実喜はチャイコフスキー・パ・ド・ドゥの曲は好きなんですが
もう少し曲調をとらえて踊って欲しかったかな。
女王が3人の姫君から花嫁を選ぶように言いますが、王子は誰にも心惹かれません。
姫君達が王子が通る時に「私よね!」って自信満々に前に進み出て、
王子に去られると「何よ!」って憤慨する演技も面白かったですー

そこへファンファーレが鳴り響き、貴族に化けたロットバルトと娘のオディール、
そしてロットバルト達が引き連れてきたスペインのダンサー達がやってきます。
ここのいかにも悪そうな音楽にのってロットバルトとオディールが登場する所は
白から黒への劇的な変換と相まって最高にわくわくする場面なのですが、
平田さんこんなオーラのないオディールも珍しい…って感じで…
小柄で可憐な雰囲気が完全にあだになっていて、
周りを圧する雰囲気も魅惑さも全然伝わってこなくて
予定通りジェンナ・ロバーツだったらどんな風だったろう…とつい考えてしまいました。

スペインの踊りはきびきびとした動きが音楽に合っていて凄くかっこよかった!
そして王子とオディールのグランパ・ド・ドゥ。
平田さん、踊ってる内にオーラの無さは段々気にならなくなってきました。
白鳥の湖という作品の魔法かなと思います。でももう少し目力があっても良かったかな。
それより王子のゴールディングが何だか淡泊な気がしたのが気になりました。
王子のソロでは今まさに愛する人を手中にせんとする若者の
滾る想いを見せる大事なシーンだと思うのですが、どうも高揚感が伝わらない。
でもテクニックはさすがに文句なしに素晴らしかったですー
高いジャンプに柔らかな着地で胸がすくような踊りでした。
オディールのソロ、前は妖しい曲の方が好きだったのですが
今は通常使われる方の可愛らしい感じの曲も好きですー
悪意のない無邪気な誘惑者って感じで。
平田さん、1月に観たペレンよりテクニックは上手かったです。
最後の舞台を一周するターンはエネルギーいりそうですがそつなくこなしてて良かったです。
コーダは何度観ても高揚しちゃいますねー
32回転のグラン・フェッテは平田さんトリプルも入れてましたがちょっと軸が不安定だったけど
その魅力の限りを尽くして王子を誘惑するオディールの勝利の舞は
毎回最高潮に高まる音楽と共に涙が出そうになります。
女王にオディールを花嫁に選ぶ赦しを乞う王子にロットバルトが愛の誓いをする様に迫り、
王子が愛を誓った瞬間広間は雷鳴に包まれ、
窓の外に悲しむオデットが映し出され王子は自分が騙されたことを知ります。
ロットバルトとオディールは高笑いを残して消え去り、女王は余りのことに卒倒。第3幕終。
このロットバルトとオディールが去る所は
派手な演出をしてくれればしてくれる程好みなのですが、
今回はロットバルトが城の階段を上る際パンッ!と煙幕が上がる物のショボくて、
オディールの嘲り方もちょっと物足りなかった。


第4幕、再び湖畔。
最初幕が開いたときスモークが焚かれていて、
その中から身をかがめていた白鳥たちが現れる所は
本当に薄もやの中から白鳥の乙女達が現れたようで意表を突かれて感動しました。
王子の裏切りを他の白鳥たちに語り湖に身を投げようとするも
白鳥たちに止められるオデット。
もう二度と人間の姿に戻れないと嘆くオデットの元に王子が駆けつけ、
赦しを乞います。
オデットと王子の悲痛なパ・ド・ドゥ。2人の悲しみが伝わってきました。
オデットはもはや人間に戻れずこの世で結ばれないなら死を選ぶと言い、湖に身を投げます。
王子は後を追おうとしますがロットバルトに阻まれ、
彼の仮面を引きはがし湖へと身を投げる王子。
ロットバルトはもがき苦しみながらついに息絶えます。
か弱い白鳥たちが身を挺してロットバルトを追いつめていく振り付けは感動的。
そこへ王子を追ってベンノがやってきます。
やがて湖の後ろの紗幕の向こうで天国で結ばれた2人の幸せそうな姿が映し出され、
一方地上ではベンノが沈痛な面持ちで王子の亡骸を抱きかかえるのでした。第4幕終。

ライト版はラストが凄く良いですねー
音楽の力も相まってラストシーンはうるうるしちゃいました。
ただベンノと王子の絆がそこまで描かれてなかったのでその辺はちょっとでしたが。
家にあるスウェーデン・ロイヤルバレエのDVDのライト版はその辺ちゃんとしてるんですがね…
全体的にダンサーが少ないのは気になりましたが、
英国ならではの演劇性のある演出で、ダンサーのレベルも水準以上だし
主役の2人がやや淡泊で心の結びつきがあまり感じられなかった以外は楽しめましたー
やっぱり生の舞台はDVDで観るのとは比べようもないですね。
本当におとぎ話の世界が目の前で説得力を持って展開されていくのはわくわくします。
お小遣いはたいてチケット買って良かった!
1月に観に行ったミハイロフスキー・バレエの白鳥も正統派で良かったですが、
演出家の発想力が光るこういうバージョンもやっぱり良いなあと思いました。
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7月15日生まれのかに座、A型。
めんどくさがりでものぐさ。

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