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雨の通り道

5月16日作成 管理人・小雨がオリジナル・版権イラスト、日記などを雑多に書いているブログです。

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今日は近所のイオンシネマ港北ニュータウンで映画「ヴェルサイユの宮廷庭師」観てきました。
思ってたほど華やかじゃないしスケール感も無かったけど、
そういうハリウッド的なウリをしていない、しみじみと情趣のある映画でした。
ストーリーは1682年のパリから始まります。
宮廷をヴェルサイユに移すことにした時の太陽王ルイ14世。
そのヴェルサイユの庭園の造営を任された庭園設計士ル・ノートルは
コンペティションを開き、面接にやってきた女性造園士サビーヌ・ド・バリを助手に選ぶ。
2人は次第に心を通わせるようになり…

導入部、朝のベッドで子供達と妃に起こされるルイ14世の
くつろいだ家庭的なシーンに期待が高まりました。
そこから召使い達に白いシンプルな夜着姿から豪奢な衣装に少しずつ着替えさせながら
「私は私に相応しい最高の宮殿を作る」と宣言するルイ14世の、
親しみやすい夫・父親の顔から
国を統べる威厳ある国王の姿への変身がとても効果的で良かったです。

そしてル・ノートルの面接にやってきたサビーヌ。
「今までのルネサンス様式とは違うフランス人ならではの庭を造りたい」と言って
ル・ノートルに「私は君が今批判した物を信奉している」と言い渡され
サビーヌは自分が落選したと思い家に帰っていきますが、
後日自ら足を運んできたル・ノートルに
「私は自分の庭に新しい物を取り入れたくなった」と言われ、
宮廷庭師として採用されたサビーヌの辺りから
サビーヌとル・ノートルとの師弟愛が描かれたり
サビーヌの華麗なるサクセスストーリーが展開されるのかな?とわくわくしたのですが、
その後の展開がひたすら地味で…
最初の方はサビーヌが自ら描いた造園計画図を見せたり、
これから造園士としての仕事のあれこれが描かれるのかなーと期待したのですが
サビーヌが造園するヴェルサイユ庭園の中の「舞踏の間」という庭で
ひたすら同じような映像で工事の様子が描かれるだけで、
美しさも造園の楽しみもやりがいも描かれなくて。

更にもっと宮廷の貴婦人達や華やかな宮殿の生活が出てくるのかと思ってたのに
そういうシーンはごく一部だけでほとんどは地味な作業着を着たサビーヌと
ル・ノートルのシーンばかりで、
予告編は華のあるシーンばかりを繋いであったけどあれ軽く釣りだと思う…。
俳優陣も主演のサビーヌ役のケイト・ウィンスレット以外は綺麗どころが全くいなくて
ル・ノートル役のマティアス・スーナールツにしても
最初ケイト・ウィンスレットの相手役になるとは思わないほど凡庸な容姿だったので
そういう意味でも映像的な見せ場に乏しくてややがっかりしてました…
その代わり描かれるのは、心に傷を負った弱い人間達の姿。
サビーヌは夫と最愛の6歳の娘を馬車の事故で目の前で同時に亡くし、
劇中幾度も娘のマリー・クレールの声や幻に苛まれ、
ル・ノートルは妻と悲しい協定を結び心の通わない夫婦生活を続け、
ルイ14世は妃マリー・テレーズの突然の死に深い悲しみに暮れる…
特にルイ14世がサビーヌに
妃の残した小さな手帳をめくりながら「妃は心清らかな女だった」と語るところは
この映画の監督でもあるアラン・リックマン演じるルイ14世がとても小さく儚く見えて、
冒頭の威厳に満ちた太陽王の姿と好対照を成していてとても印象的でした。
その手帳も「陛下に頂いた花」と押し花が飾られていたり、
本当に一人の女性の息づかいがそのまま感じられるようなささやかだけど思いのこもった物で、
余計ルイ14世の寂しさが際だって見えましたー人がいなくなるってこういう事なんだなと。
サビーヌが国王の寵姫モンテスパン公爵夫人の部屋に招かれ
子供を亡くしたことを話すシーンも、
周りの女性達が「私は双子を一度に」「私は4歳の息子を」と
同調しながら半ば懐かしむように語り出し、
幼児死亡率の高かったこの時代の女性達の共通の悲しみが感じられて、
とてもきゅんとくる優しさのあるシーンで良かったです。

ル・ノートルと愛をかわしたサビーヌが翌朝
心変わりした夫が愛人の元に愛娘を連れて行った事を知り
2人の乗った馬車の前に飛び出してそのせいで馬車が山道から落下する所を思い出す場面、
マリー・クレール役の女の子可愛かったです♪
「あんなに美しい子を殺してしまった」と涙を流すサビーヌをル・ノートルが抱きしめ、
いよいよ舞踏の間が完成し、
踊りに秀でていたルイ14世と宮廷人達が中央の舞台で踊る姿から段々カメラがロングになり、
それまで全く写されなかったヴェルサイユ庭園の全貌が映し出されて終わるラストは
何か言葉にしがたい余韻を残してくれました。
結局これは名もない女性庭師が世界一華麗な宮殿の庭園を残したサクセスストーリーではなく、
弱さを抱えた人々の魂の再生を描いた物語なんだなと思いました。
そして最初の面接の時ル・ノートルが言う「君は秩序と調和を重んじるか?」という言葉に
「ほんの少しの無秩序」を愛すると答えたサビーヌの言葉が原題になっていますが、
それは庭園のみならず人生そのものに対する彼女の姿勢であり、
私達人間の本質もまたそれだと言いたいのではないかな、とこの映画を観て感じました。

私のようにベルばらみたいなきらきら宮廷絵巻を期待していくと肩すかしだと思いますが、
円熟味のある俳優陣による趣深い芝居と機知に富んだ会話は魅力的で、
求めていた映画とは違ったけどこれはこれで良かったかなと思えました。
特にサビーヌが「薔薇がしおれておるな」と言うルイ14世に
「全ての薔薇の定めですから」と自分たち女性の生き方を薔薇に例えて話すシーンは
仕掛けが利いていて印象的。
前述のように肝心の造園のシーンが魅力的に見えない所は残念でしたが、
とにかく派手で単純な物が良しとするハリウッド映画の中にあって
地味だけど堅実でしっかり作られたこういう映画もあるという事に意味を感じました。
ケイト・ウィンスレットは今年40歳だそうですが変わらぬ美しさで
自立した現代的なヒロインを演じていて良かったです。
監督兼ルイ14世役のアラン・リックマンもいぶし銀の魅力でさすがでした。
最近はディズニーとかの売れ線の映画ばかり観ていたので、
久しぶりにこういう映画を映画館で観られて良かったと思いました~。
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小雨
性別:
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職業:
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趣味:
読書、映画鑑賞
自己紹介:
7月15日生まれのかに座、A型。
めんどくさがりでものぐさ。

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