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雨の通り道

5月16日作成 管理人・小雨がオリジナル・版権イラスト、日記などを雑多に書いているブログです。

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帝国劇場「エリザベート」


今日は帝国劇場にミュージカルエリザベート観に行ってきましたー
プレヴュー公演という事で本公演よりも1000円安かったのでどんなもんかと思ってましたが、
衣装も装置も本番と変わりなく、もちろんオケもちゃんと付いてるし
全然本公演と変わらない感じでした。
本公演ではちょくちょく演出とか直しが入るのかも知れませんが。
で、公演、良かったですー…けど、
完全に筋や曲が頭に入ってるバレエ公演と違って
ミュージカル、それも初めて観る作品でパンフも買ってないとなると
ストーリーやシーンの順番もあやふやで観劇レポが書きづらいです…
なので印象的だったり覚えてるところだけ書く感じで。つづきからレポですー


第一幕、開幕前から幕が上がっていてセットが見えていましたが、
チケット発売日にすっかり忘れて寝坊して高い良い席しか取れなかったので
さすがに舞台が近くて眺めが良かったです(苦笑)
と言っても2階席の真ん中よりちょっと前位?
普段はいつも最後列で観てるので舞台が近いと出演者達もリアルに感じられて良いですね。
ともかく開演すると、黄泉の国でオーストリア皇妃エリザベートを暗殺した罪で
ルイジ・ルキーニが裁判にかけられています。
尾上松也さん演じるルキーニ、
「皇后を殺したからって100年も裁判にかけられるなんて!」と
哀れな役かと思いきや、すぐに
「何故殺したかって?本人が望んだからさ!」と
クレイジーな本性を表して、彼がエリザベートを暗殺するまでの彼女の人生を語り始めます。
全篇このルキーニが狂言回し的な役割となって物語の語り部になるのですが、
尾上さん凄くいきいきとして魅力的でしたー
とにかくクレイジーでファンキーでそれでいて不思議に品を失わない感じが
バランス感覚が絶妙で凄く良かったです。

舞台は黄泉の国から1853年のポッセンホーフェン城に。
シシィことエリザベート役の蘭乃はなさんが登場。
蘭乃さんの少女シシィとっても可愛かったーvv
19世紀のお嬢さまのふりふり衣装がまたとっても愛らしくてvv
ちゃんとスカートの裾からドロワーズが覗いてる所とかさすがポイントを押さえてます。
蘭乃さん、父マックス公爵に「パパみたいに」と歌う所まさに少女そのものでしたー
声がとっても可愛いのです。おてんば娘っぷりが良く出てて良かったです。
「アデュー、シシィ」と言って旅立った父と入れ替わりに家庭教師の夫人から
「プリンセス!」と呼ばれたエリザベートは
「プリンセスなんて呼ばないで!私がプリンセスなんかじゃなければ曲芸師になっていたわ!」
とむくれ顔。「お見せしましょうか?マダム?」と愛嬌たっぷりの蘭乃さん可愛い。

そこへ親戚達が集まってきて、
エリザベートの姉ヘレネが皇帝フランツ・ヨーゼフのお妃になる事を
二人の母ルドヴィカ公爵夫人が発表しています。
この場面で集まってくる親戚の貴婦人達の衣装が豪華で
ちゃんと時代考証されてて良かったですー
この場面だけに限らず全篇衣装が豪華なので眼福でしたvv
しかしヘレネただでさえ当て馬で酷い扱いの役柄なのに衣装も一人だけ変にダサくて可哀想…
他はちゃんと品性が取れてるのに何で一人だけあんなに浮いてるのか…
ともかくそんな親戚達に構わず一人木登りしていたシシィことエリザベート、
「あっ!シシィが木から落ちるわ!」と誰かが叫ぶと、
舞台のセットの後ろの幕に木から落ちるエリザベートのシルエットが映し出されて、
その落下がスローモーションになる所までシルエットで表されていてとっても効果的。
このバックの幕に映像を映し出す演出が全篇に渡って使われているのも
お洒落な感じで素敵でしたー時には背景のお城が映し出されたかと思えば、
エリザベート自身の写真や絵はがきが映ったり、新聞が映ったり…
場面転換も次々行われるのですがスムーズで良かったですー

ともかく木から落ちて意識を失ったエリザベートを、
黄泉の国の帝王トート役の城田優さんが抱き上げ、
「ほんの少女だと分かっているのに惹かれる…」と歌います。
城田優さん、現世の人々とは全く違う服装とカツラで
いかにもこの世ならざる者といった雰囲気と存在感が出ていて良かったです。
背も凄く高くて、2メートルはあるんじゃないか?という感じ。
トートはエリザベートの命を救いますが、
いつか必ず俺と踊ろう、とエリザベートに告げ、
その後も事ある毎に彼女の前に現れては彼女を死の世界へ誘おうとします。
こうしてエリザベートは死の帝王に愛され、
彼女も彼に抗いがたい力を感じ、魅入られるのでした。

その後バート・イシュルでのお見合いで
佐藤隆紀さん演じる皇帝フランツ・ヨーゼフに見初められたエリザベートは彼と結婚。
「皇帝とは重い責任を負った存在だ。皇后もまた…それでも私と結婚してくれる?」
と歌う皇帝にエリザベートは「あなたが側にいれば何があっても平気」と歌います。
このシーンはいかにも幸せでロマンチックな初々しいカップルという感じで、
音楽も甘く叙情的で美しかったです。
その後の結婚式から貴族達が集まっての舞踏会のシーンは
これまた貴婦人達の衣装が華やかで素敵でしたー
あとコミカルな雰囲気も出てて、
もっとオペラみたいに重厚で真面目なミュージカルだと思ってたので
良い意味で期待を裏切られて面白かったです。

新婚初夜の翌朝、ハプスブルク家唯一の男と呼ばれるゾフィ皇太后役の剣幸さんが
「皇后としての勤めを果たしなさい」とエリザベートを厳しく叱咤し、
エリザベートは「お母様が私に干渉する」と皇帝に訴えますが、
「母上の言う通りにしていれば良い、良いね?」と返され、
「…分かったわ…」と力なく頷きます。
少女シシィからどうやって大人の女性エリザベートに変化するのかと楽しみにしていましたが、
蘭乃さんとても自然にシシィ→エリザベートへと移行していって、良かったです。
声も歌うときは高音で綺麗なのですが、台詞の時はやや中性的な感じの声で、
それがまた蘭乃さん演ずる
芯が強くて凛としたエリザベートというキャラクター造形に合っていて、凄く良かったです~
歌は雑誌のインタビューで蘭乃さん、タカラジェンヌの時から
「はなちゃんは歌さえ良ければね」と言われ続けていた、と書いてあったので
そんなに期待していなかったのですが、確かに上手という感じはないし
特別ここの歌が良かった、みたいな所も無かったけど、
思ってたよりずっと聞きやすくて良かったです。女性らしい美しい声だし。
「おとなしいお妃なんて私には無理」と孤独に歌うエリザベートの前に
またもトートが現れ、自分を愛するように言いますが、
エリザベートは「生きてさえいればきっと希望はある」と彼を拒否します。
まだ人生に希望を持っている若いエリザベートの姿が、
後半のエリザベートととても対照的で印象的でした。

フランツ・ヨーゼフとエリザベートの間に生まれた待望の世継ぎの皇太子ルドルフは、
他の子供達と同じようにエリザベートの手から奪われ、皇太后ゾフィの手で養育されます。
剣の稽古を嫌がり「ママに会いたい」と訴える少年ルドルフ役の大内天君、
可愛いし演技も歌も上手で、祖母ゾフィに「妃の役目は母の役目とは比べようもない」と
けんもほろろに言われ、伯爵に「殿下はひよわで…」と連れ去られるところの
いやいやをする所とか、健気で涙を誘いました。
エリザベートは夫フランツ・ヨーゼフに
「ルドルフの養育権を私に返してください。ルドルフは虐待されています。
お母様か私かどちらかを選んでください。これは私の最後通告です」
と彼女の要望を書いた嘆願書を突きつけます。
国民がミルクが足りないと嘆いている時に、
エリザベートは自らの武器である美貌を保つためミルク風呂に入り、
自慢の黒髪を女官達に手入れさせています。
女官長が「陛下は今御髪を手入れなさっています。お声は聞こえるはずです…」
と言うのを受けて、皇帝はまるで厚い岩にも思える衝立越しに
「皇帝の使命は己の感情を抑える事だが、君のためならその掟も捨てよう」
とついに母よりエリザベートを選ぶことを告げます。
すると2人を隔てていた舞台の壁がするすると上がり、
有名なヴィンターハルター画の肖像画を思わせる真っ白いドレスを着たエリザベートが
「これからもあなたと生きていきます、でも私は私だけのもの」と姿を現し、
その傍らにはトートがいるのでした。
この場面の蘭乃さんは本当に高潔で近寄りがたいほどのオーラを放っていて、
現世の皇帝と黄泉の帝王、2人の王から愛される女性に相応しい
圧倒的な美しさを感じさせてとても感動的でした。純白のドレスがとっても映えて素敵。
ここで第一幕終。


第2幕。ルキーニがハンガリーがオーストリアと二重帝国となった事を記念し、
様々なグッズが売り出されているが、こんなものは全て「キッチュ!!」と切り捨てます。
これキッチュって言ってたのかー
帰ってきてからWikiで見るまで何て言ってるのか分かりませんでした…
キッチュがまがい物という意味だと言うことも。
何にしても尾上さんノリノリで、幸せそうな家族の姿は幻想に過ぎないと歌います。
それを裏付けるように少年ルドルフ役の大内君が再登場し、
「ママ、せめてお城にいるときだけは僕を一人にしないで」と歌います。
第一幕の歌は申し訳程度だったけどこのシーンの歌はちゃんとナンバーと言って良いほど長く、
母を慕う寂しい少年の心を切々と歌い上げていて、またしても涙を誘いました。
大内君、歌も演技も凄く上手。
それでいてよくいる大人に媚びた子役のような嫌味さがなくて良かったです。
そんなルドルフ少年の元にトートが現れ、彼に「俺は友だ」と告げます。
その後の運命を予感させるようにトートと心を通わせるルドルフ。
その頃エリザベートは美貌を保つため専用の体操室を作らせ、
美容体操に励むも、意識を失ってしまいます。
医師にフランス病という性病だと告げられたエリザベートは
夫の裏切りを知り愕然としますが、そこへトートが現れ「俺と踊ろう」と誘うも、
エリザベートは「私はまだあなたとは踊らない!」と毅然とした態度でそれを退けます。
このシーンのエリザベートは下着にズボンという
とても皇后とは思えないような粗末な出で立ちなのに、
蘭乃さんまっすぐ床を指さしトートを退ける所は
まるで本物の女王の様な威厳を放っていて本当に素晴らしかったです。

やがてルドルフは青年になり、
父親である皇帝フランツ・ヨーゼフを批判する記事を新聞に書いた事が知られ
父の激怒を買います。
ルドルフは母エリザベートに助けを乞いますが、
エリザベートは「私は絆を断たれた身。あなたの言うことは聞けません」
と去ってしまいます。
「ママも僕のことを見捨てるんだね…」と絶望したルドルフの元にトート達黄泉の住人が現れ、
彼を死の世界へと誘います。
勝手にトート・ダンサーと呼ぶことにしますが、
トートと同じようなカツラと格好をした黄泉の国のダンサー達も事ある毎に登場して歌い踊り、
とてもかっこよかったですー
このシーンの城田さんは特にいきいきとしていてかっこよかった!
青年ルドルフ役の京本大我さんもジャニーズJrという事で全く期待してなかったのですが、
若々しく繊細で脆い皇太子を真摯に演じていてとっても良かったです。
トートはルドルフに死の口づけをすると、彼にピストルを手渡します。
ルドルフはしばしそれを見つめ、やがて自らの頭を打ち抜きます。
エリザベートは
「ママは自分を守るためにあなたを犠牲にした…決して許されない事をしてしまった…」
と悔やみ泣き崩れます。
このシーンの蘭乃さんの演技は本当に鬼気迫っていて、
台詞を言う声が涙で震える所とかとても真に迫っていて
思わずこちらももらい泣きしそうになりました。
ルドルフが消えた舞台上のセリ?からトートが現れ、
エリザベートは遂に「私を殺して!」と彼にすがりつきますが、
トートは「まだ俺を愛してはいない」と言い残し消えてしまいます。

生涯喪服を脱ぐことはなくなったエリザベートはフランツ・ヨーゼフと逢瀬をしますが、
「君を愛している」という皇帝の言葉に
「私達は決して同じゴールには着かない2隻の船」と2人の間を例えて去っていきます。
そして遂に1898年9月10日、スイスのジュネーヴで
エリザベートは「偉そうなヤツなら誰でも良かった!」というルキーニにヤスリで胸を刺され、
安らかに永遠の眠りにつきます。
今こそ彼女はトートの腕に抱かれ、永遠の黄泉の国に旅立ち、
ルキーニは黄泉の国で首を縛られるのでした。第2幕終。


いやー事前にプロモーションムービーで観ていた感じだと
音楽が何かダサいロックみたい…?とあんまり心惹かれず不安だったのですが、
PVで紹介されてたのはほとんどトート達黄泉の国のシーンだったり
民衆達のシーンだったりと泥臭い場面ばかりで、
そういうシーンの音楽は確かに一昔前の感じがしないでも無かったですが
それもまた良い味で観てみたら意外にすんなり受け入れられました。
もちろん宮廷絵巻らしい華やかなシーンもちゃんと有ったし、
レ・ミゼラブルやミス・サイゴンの様な流麗な音楽とはまた違ったけど
美しく叙情的な旋律もたくさんあって、耳に馴染みやすかったです。
ルキーニの歌う数々の名調子も楽しかったし、
マダム・ヴォルフの怪しい館のシーンとか、前述した宮廷舞踏会のシーンとか
猥雑だったりコミカルだったり、様々に顔を変える音楽がとても良かったです。
思ってたより台詞少なめでほとんど歌ミュージカルだったなー

そして何よりタイトルロールの蘭乃はなさん!
歌は何度も言うように上手!という感じではなく所々不安定になるところもありましたが、
演技が素晴らしい!
エリザベートの苦悩や葛藤と言った細やかな心情をしっかり演じていて、
まだお若いのに素晴らしい女優だなーと思いました。
トート役の城田優さんは歌唱力は言うまでもなく素晴らしかったですが、
蘭乃さんの演技と比べるともう少しエリザベートが魅入られる魅力が欲しいかなと思いました。
背が高い上に美形なので本当に舞台映えはするんですけどね。
ゾフィ役の剣幸さんは及第点という感じかな。もう少しパンチがあると良いなーと思いました。
でも黒基調の重厚なドレスを着こなす風格は良かったです。
フランツ・ヨーゼフ役の佐藤隆紀さんは演技より歌唱力が印象に残りました。
声量があって深みのある声が素敵。
もちろん狂言回し役として全篇を支配していたルキーニ役の尾上松也さんも
本当に舞台を盛り上げていて蘭乃さんと共に素晴らしかったです。



ストーリーやシーン、歌、かなりはしょりましたが
印象的なシーンや演出もたくさんあって、セットも衣装も豪華で良かったです。
エリザベートという自由な生を渇望した一人の女性が
皮肉にも死の腕に抱かれる事で解き放たれるまでの物語ですが、
エリザベートのみならず誰もが死を恐れると同時に死に魅入られる、
それが人間という生き物であり、黄泉の帝王という存在を通して
それを象徴的に視覚化しているのがとても巧みだなと思いました。
終演後場内スタンディングオベーションの、とても完成度の高い舞台でした!
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7月15日生まれのかに座、A型。
めんどくさがりでものぐさ。

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