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5月16日作成 管理人・小雨がオリジナル・版権イラスト、日記などを雑多に書いているブログです。

今日は6月3日のシスター・アクト以来に帝劇に行って、
ミュージカルミス・サイゴンを初鑑賞してきましたー
舞台はとっても良かったのですが、私の方のコンディションがあまり良くなくて…
前々日は徹夜、前日は3時間睡眠、そして今日は朝の5時前まで寝付けず2時間半睡眠で
第1幕はついついうとうとする場面が何度もあり、第2幕は平気だったのですが
いつもの様に感動を頭の中で明確に言語化出来ず曖昧な印象しか残らなくて…
なので、印象に残ったシーンだけさらっと感想を書く感じにしようと思います。
つづきからどうぞ。


席は2階席一番後ろの席でしたが、十分近くて見えるので良かったです。
開演前舞台には模様の入った薄い紗幕がかかり、
オーケストラピットもあったので生演奏やったぁと思いました。
いやシスター・アクトも生オケだったし帝劇ともなると当たり前なんでしょうが、
劇団四季やバレエではテープ演奏も少なくないので…
ともかく会場が暗くなると、ヘリのバリバリという音の後幕が開き、
美しい序曲が。やっぱり生オケ良い!!
しかもミュージカルならではのビッグバンドみたいな感じじゃなく、
まるでクラシックのオケみたいな大編成で音が迫力満点でした!

開いた幕の真ん中から一人の少女が登場し、
ベトナム戦争末期のいかがわしいナイトクラブのセットが現れます。
今日は田舎を空襲され家族を失った17歳の少女キムが初めて客を取る日。
クラブの経営者であるエンジニアにアオザイの下のズボンをナイフで切り裂かれ、
「この娘はまだ生娘です」と客のアメリカ兵達に紹介されるキムを演じる笹本玲奈さんの、
猥雑なクラブの他の売春婦達や客の男達とは一線を画するその清純さ!!
真っ白いアオザイに初々しくまとめられた髪という姿が、
あまりにも周りから浮き上がっていて清冽で、
本当に17歳の処女がそこにいる、という痛々しさを感じさせてとっても効果的。
一度はアメリカへ帰った物の周囲の白い目に耐えられず再びベトナムに戻り、
すっかり厭世的になったアメリカ兵クリスに
クリスの友人、ジョンの計らいで買われることとなったキム。
2人が一夜を過ごした後、クリスはキムに金を手渡しますが、
キムは「初めてだから」と言って受け取りません。それでも強引に金を渡すクリスに、
キムはセットの階段の上にあるベッドがある部屋からクリスのいる下に向かって
札をばらまきます。ここでキムのプライドと激しい性格が印象づけられました。
「身の上話をしようか、村を焼かれ顔のない親の死体を見て…」
と歌うキム。この歌詞は本当にショッキングで、
今も昔も変わらない戦争の悲惨さを感じました。
それにしても笹本さん、流麗で非の打ち所のない美声!!
魂の叫びを表すかのような胸の奥からほとばしる様な歌声は全篇に渡り変わりませんでした。
クリスとキムはやがて心を通わせ、愛し合います。
しかしサイゴンはほどなく陥落し、アメリカへ帰国するクリスとキムは
その混乱に巻き込まれ別れ別れに。

3年後、キムはクリスとの間の息子タムを育てながら難民キャンプに身を寄せていますが、
そこへキムの親が決めた婚約者、トゥイがやってきて、キムに結婚を迫ります。
キムがタムの存在を知らせると逆上したトゥイはタムを撃ち殺そうとします。
愛する息子を守るため、拳銃でトゥイを撃つキム。
行き場を失ったキムはかつてのクラブ経営者のエンジニアを頼り、
前々からアメリカへ渡って一稼ぎするのが夢だったエンジニアも
タムの存在に目を付け、キム達を利用してアメリカへ入国する夢を果たそうとします。
エンジニア役の駒田一さんの歌う「生き延びたけりゃ 何でも利用する」
という歌詞がエンジニアのしたたかさを感じさせます。
一方「お前はアメリカへ渡りチャンスを手にする お前のためなら命をあげるよ」と
キムは小さな息子のタムを抱きしめ有名な「命をあげよう」を歌います。
笹本さん、絶唱…と言いたいところなのですが、
それまでのナンバーや演技と比べると迫力と生彩に欠けるというか…
もっと鬼気迫った感じがあった方が良いのではないかな?と思ってしまいました。
でも公式サイトを見ると笹本さん、キムはもう10年も演じているみたいなので、
わざとここでは息子を思う優しい母親の心情を出しているのかな…?と
今書いていて思っています。
それぞれの思惑をもってエンジニアとタムの手を引くキムの3人は
明るい未来か、破滅か判然としない門をくぐってバンコクへと旅立つのでした。
この3人が舞台真ん中の光の門みたいな照明の中へ消えていくシーンは
とても象徴的で好きでした。
第1幕終。

第2幕、舞台はがらりと代わり、1978年のアトランタ。
それまでのアジア的な雑多な雰囲気とは一変して
整然とした会議場の様な会場に、大きなモニターが設置され、
そこにはブイドイと呼ばれるアメリカ兵の父とベトナム女性との
混血児達の姿をとらえた写真が次々と映し出されます。
終戦後ブイドイを支援する役目に就いていたジョンがアンサンブルと歌う
「彼等はみなアメリカの子だ」という歌詞、
ここでも戦争によって生まれた悲劇が強く印象づけられます。
…もっとも、ベトナム戦争の歴史背景を全く知らない私は終演後パンフのあらすじを読むまで
この子供達は枯れ葉剤か何かの被害者の子供達なのかなと思いながら観てましたorz
…ともかく、それまでの伝統的な舞台セットや装置とは打って変わって
この現代アートを思わせるようなモニターを使った演出がとても清新で
面白い趣向だなーと思いました。

一方バンコクのキャバレーで客引きとして働くエンジニアとホステスとして身を立てるキム。
ここでまた装置がいかがわしい電飾に飾られた店の看板が立ち並ぶセットに変わるのですが、
ここでエンジニアが歌い踊るシーンがとても好きでしたー
同じ猥雑さでも、1幕のサイゴンのクラブのシーンはどこか悲壮感が漂っていましたが、
このバンコクのキャバレーは淫猥で退廃的な感じがある種陽気な雰囲気で、
映画シカゴとかキャバレーなんかを思い出しました。
キムがバンコクでタムを育てていることを知ったジョンはクリスがアメリカに帰国後
エレンという女性と結婚したことを話そうとしますが、結局話すことが出来ず、
キムはクリスの無事を知っていつかきっとクリスが自分たちを迎えに来てくれると夢見ます。
しかしそこへ突如殺されたトゥイの亡霊が現れ、「俺は死にはしない、存在し続ける」
とキムを悪夢の世界へと引きずり込みます。
夢の中はあのサイゴン陥落の日、クリスはキムをヘリに乗せようとするも、
混乱の中ヘリは無情にも空へと舞い上がり、
クリスのキムを呼ぶ叫びだけが虚しく残されるのでした。
事前に公式サイトで原寸大のヘリが登場するのが見所、と書かれていましたが、
舞台の一番の呼び物が登場するのが夢の中という設定なのは面白いなあと。

ジョンからバンコクに滞在しているクリス達の部屋を教えてもらいクリスに会いに行くキム。
しかしそこにはエレンの姿だけがあり、
全てを知ったキムはエレンに跪いてタムをアメリカへ連れて行ってくれと頼みます。
ここは普通なら息子は絶対手放さないと思いそうな物なのに、
息子だけは父親と共にアメリカに行って幸せになって欲しい、という
母親としての無償の愛がひしひしと感じられてとても胸打たれました。
自分が結果的に裏切られる形になった事よりも、ただただ息子の幸せだけを願う母の心…
笹本さんの絞り出すような歌声が涙を誘います。
エレン役の三森千愛さんは笹本さんと比べると声がか細い感じで、
どちらかと言えば地味な感じでしたが、
キムが去った後エレンのために新しく追加されたソロを歌うところでは
「愛されながらもどこか入り込めない所があるのを感じていた」と
複雑な胸の内を表現していて物語に深みが出ていました。

帰ってきたクリスはエレンからキムとタムのことを知らされ、
「あなたが思うなら私の元を去っても良い」とエレンに言われながらも
「僕に必要なのは君だ」と歌い、
「バンコクで暮らすキムとタムを援助しよう」という結論を出しますが、
それを聞いたジョンは「無情な!」と呟きます。

一方のエンジニアは夢見ていたアメリカンドリームが実現する日も近いと、
コーラスガールやダンサー達と共に自由の女神像を背景に
「アメリカンドリーム」を歌い踊ります。
ここは典型的なブロードウェイミュージカルのショーやレビューの様な音楽と構成で、
それまでの重厚でエキゾチックな雰囲気や音楽からの思い切った転調が効果的、
とかそういう決まり切った論調をする以前にただひたすら楽しくて、
アメリカンドリームのナンバーの間はキムとクリスの悲劇もすっかり忘れて
思いっきりダンスと歌を楽しみました!!
この場面だけ凄く浮いてるのに、全体を思い返すと割としっくり馴染む感じが何とも不思議で。

そしてついに運命の糸が1つの結末を紡ぎ出す日…
家の外にはタムに会いに来たクリスとエレン、そして虎視眈々と夢の実現を待つエンジニア。
粗末な家の中でタムのキスを受けたキムはタムを外へやり、
家のセットの布の裏側ににさっと入ると銃声が…
布の中から現れくずおれる自らを撃ったキム。クリスが駆けつけ抱き起こしますが、
キムは「あの子をアメリカへ連れいていって…」とささやき、
途切れ途切れに歌を口ずさみながらやがて事切れます。
キムの体を抱いたクリスの「キーーーーーーーーーーム!!!」という慟哭が響き、
幕がおります。第2幕終。
いやーかなりうるうるきましたー
キムはもう全て悟っていて、愛するクリスの腕に抱かれて死ねるのを
とても幸せに思っているんだろうなと、自然と思わせられる笹本さんの演技でした。

全体的に4月に観に行ったプッチーニのオペラ「蝶々夫人」を意識した物語ですが、
このミュージカルは異なる文化の国に生まれた男女のすれ違いと悲恋、というテーマの他に
更に戦争の悲惨さ、戦争のために起こる悲劇が主軸として描かれています。
そして、母の我が子への究極の愛の物語でもあります。
これらのテーマを全体に流れる限りなく甘美で美しいメロディーの数々が
見事に1つにつなぎ合わせていて、歌詞の内容は悲劇的なのに
ただ音楽を聴いているだけだと
とてもエクスタシーを感じる様な所もまた素晴らしいなあと思いました。

キャストで言えば、やはりキム役の笹本玲奈さん。
今回初めてこのミュージカルを見たので他とは比べられないのですが、
とても堅実なキムだなと。堅実というと「無難」の様な意味にとられるかもしれないのですが、
そうではなく、どのシーンでもキムの気持ちや行動の1つ1つがとても自然で
やはり何度もキム役を演じてきているだけあって、
自分の中のキム像をとてもしっかり作り上げていて
彼女の中にキムという存在がとてもすんなりと入り込んでいるというような印象を受けました。
変なクセがなくて観やすくて、素直なキムだなあと。
そして実質この作品のもう一人の主役とも言えるエンジニア役の駒田一さん。
このエンジニアという役がどういう意味を持っているのかあまり分からなかったので
役にあっているかどうかという部分は判断しづらかったですが、
本来のエンジニア役だった市村正親さんの代役と言うことでプレッシャーもあったと思う中
よくも悪くも単純明快で分かりやすいキャラクターとして演じきっていたなあという印象です。
「アメリカンドリーム」の歌詞の中でちらりと覗かせる自身の境遇の部分とか、
もっと陰影を出そうと思えば出せると思うのですが、あえてあっけらかんと、
ある意味裏表のない一本筋の通った男として演じている気がします。
他の方と比べられないので何とも言えませんが私は見ていて単純に楽しかったので良いかなと。

そしてカーテンコールの最後に駒田さんのアナウンスがあり、
市村さんはミュージカル界の怪物と呼ばれているのできっと元気な姿で復帰してくれるだろう、
我々も市村がいないからと言ってめそめそせず、
怪我など無いよう最後まで舞台を勤め上げる努力をします、と仰って終幕となりました。
とても誠実で素敵なカンパニーだなと印象に残る一幕でした。
ミス・サイゴン、ほとんど予備知識無しに見たので次はどうなるのだろうとわくわくしたし、
音楽が本当に素晴らしく美しくてそれだけでチケット代の価値はあると思いました。
王様と私やマイ・フェア・レディの様な明るくて幸福感のあるミュージカルも大好きだけど、
こういうドラマチックなミュージカルを生で観るのは初めてだったので、
印象深い夏の思い出になりました~。
…あ、さらっと詐欺はいつものことなので謝りません笑
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