雨の通り道
5月16日作成 管理人・小雨がオリジナル・版権イラスト、日記などを雑多に書いているブログです。
カテゴリー「映画感想」の記事一覧
- 2024.11.23 [PR]
- 2015.12.23 リトルプリンス 星の王子さまと私
- 2015.10.12 ヴェルサイユの宮廷庭師
- 2015.04.25 エルサのサプライズ/シンデレラ
- 2015.03.15 イントゥ・ザ・ウッズ
- 2015.01.29 ANNIEアニー
リトルプリンス 星の王子さまと私
- 2015/12/23 (Wed) |
- 映画感想 |
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昨日は近所の109シネマズにリトルプリンス観に行ってきましたー
星の王子さま読んだこと無いのでストーリーについて行けるか不安だったけど、
女の子と友情を育む老飛行士のパートはCGアニメ、
星の王子さまのお話の部分はストップモーションを使って表現していて
視覚的にとっても面白くて、すんなり入り込むことが出来ました。
映画冒頭、「僕は子供の頃象を飲み込んだ蛇の絵を描いた」と
スクリーンがキャンパスになったように絵がさらさらと描かれていき、
なかなか上手く描けたその絵を見せると大人達がシルエットで
「それより勉強しなさい 算数は?理科は?国語は?」と口々に言うシーンの後
またスクリーンにさらさらと誰もがよく知る星の王子さまの絵が
鉛筆みたいなタッチで描かれてタイトルが浮かぶ所で、
私はすでに「この映画好き!」と確信していました~
9歳の女の子と彼女を一人で育てるシングルマザーのお母さんが
名門校ワースの入試試験の面接を受ける場面から物語は始まります。
スーツを着て飾りっ気のない髪型をしているお母さんですが
それが返ってそこはかとない艶っぽさもあって好みでした(笑)
女の子が番号を呼ばれて面接官達と対峙するシーンは
面接官達がいかにも圧迫面接といった感じの冷淡な表情で並んでる所とか
お母さんが心配そうに見守ってる所とか、
キャラクターの表情や演技がとても豊かで観てて楽しかったです~
結局面接に失敗してワースの近くの家に引っ越せばワースに通うことが出来ると
売値の安い家を探したお母さんが見つけた先は、
無機質で清潔だけど隣にとんでもないおんぼろ屋敷が建っている家。
おんぼろ屋敷には変人と近所から鼻つまみにされている元飛行士の老人が住んでいて、
庭に壊れた飛行機を置いて何度も飛び立とうと試みています。
そのおじいさんが隣人になった女の子の家に
若い頃自分が会った不思議な王子さまの話を描いた紙を紙飛行機にして飛ばしてきたことから
勉強に忙しく友達のいなかった女の子は老飛行士と仲良くなるのですが…
まずお母さんと女の子の日常の演技がリアリズムの手法で描かれていて楽しくて良かったです~
朝は並んで歯を磨いて揃ってゆすいだり、
お母さんが夜遅くまで働いていてお店の中華料理買ってきたわよ~と帰ってくる所とか、
お母さんお料理はあんまり上手くないんだろうなー
いや仕事が忙しいから作る暇がないのかな?とか
そういう台詞から一つ一つあれこれ想像するのが楽しかったです。
四角い無機質な女の子達の家と対照を成す
老飛行士の暖かい色合いのおんぼろ屋敷のビジュアルも凄く好きでしたー
女の子が老飛行士と仲良くなってゴミ置き場と化している家の中に入ったり
瑞々しい庭で遊んだりする所は映像がとても美しかったです。
その間にも老飛行士が紡ぎ出す星の王子の物語がどんどん展開していって、
ペーパークラフトみたいなストップモーションアニメの王子が
自分だけの薔薇や狐と出会う所とかがまた映像的にもストーリー的にもとても見応えあって。
老飛行士が女の子にパンケーキを食べさせてあげようと無免許運転で出かけるものの
警察に掴まって、お母さんは女の子にもう老飛行士と会ってはいけないと言い渡します。
そして夏休み最後の雨の降る日、女の子は老飛行士が救急車で病院に運び込まれるのを見て、
必死で自転車で後を追いますが手術室?の中にまでは入れません。
女の子は老飛行士の庭の壊れた飛行機を修理して、
お気に入りの狐のぬいぐるみと共に星の王子さまを探す旅に出ます。
星の王子さまの話はあくまでも老飛行士の語る昔話だけで、
このまま現実世界の中でストーリーが進んでいって
お母さんが懐柔されたりするんだろうなと思ってたので
この展開は意表を突かれましたが、勉強ばかりで友達もいなかった女の子が
想像の翼を広げて飛び立つファンタジーは素晴らしいなあと思いました。
大人だけが住む星に降り立った女の子は
ビルの最上階で掃除夫として働くMr・プリンスー大人になった王子と出会い、
役に立たないものをお金に換えるビジネスをしている欲深いビジネスマンを出し抜き
捕まえられていた星達を解放し、王子の故郷の小惑星B612へと帰ってきましたが、
王子だけの大事な薔薇はしおれていました。
「こんなのってないわ…こんなはずじゃなかったのに…あなたはどうして平気なの?」
と女の子に言われた王子は
「覚えているからいなくならない。いなくなるけど、いなくならない」
と言い、いつの間にか子供の王子の姿に戻っているのでした。
「そばにいるってそういうことなのね」と呟く女の子。
「絶対忘れないでね!」と王子に言われて「忘れないわ!」と女の子は地球に帰っていきます。
翌朝、新学期の始まりの日、女の子は朝からきちんとワースの制服を着込み
お母さんと一緒に老飛行士の寝ている病室にお見舞いに。
老飛行士は彼が描いた星の王子さまの物語をまとめた手作りの本を女の子から渡され、
「素敵なプレゼントだ」と微笑みます。お母さんも本を見てあれこれ感想を言います。
「泣いちゃうのは…懐いちゃったからしょうがないよね」と
女の子は老飛行士に取りすがり…だんだんフェードアウトしていきます。
その後星が瞬く夜、女の子はお母さんと望遠鏡で星達を眺めるようになりました。
星が綺麗なのは見えないところに花が咲いているから。
星の王子さまと老飛行士の楽しそうな笑い声が聞こえてくるのでした。
正直獲物を丸呑みにする蛇や自分の采配一つが世界を動かしていると思い上がっている王様、
お金を稼ぐのに余念のないごうつくばりのビジネスマンなど
そこに込められた寓意の意味は良く分かりませんでしたが、
登場人物の感情や演技がとてもリアルで
お母さんの娘を名門校に入れて盤石な人生を歩ませてあげたいという気持ちから
ハードなスケジュール管理を押しつける所とかも憎めませんでした。
「お母さん最近働いてばかり。お父さんみたいに出て行っちゃうの?」
と女の子に言われて、気丈な表情が一瞬移ろうところは
彼女の弱さや負い目も感じられました。
ストップモーションアニメのパートももちろんとっても見応えあって楽しいんだけど
私はやっぱり現実世界の女の子と老飛行士の世代を超えた深い友情に胸が打たれましたー
そして、子供の頃の世界って
大人になってから見る世界とはとても違って凄く狭いんだけど、
でも子供の時はその小さな世界が隅々まで自分のもので全宇宙だったんだよなと、
子供の頃の世界の見え方、感じ方を思い出させてくれる映画でした。
大人達だけの世界のディティールとかもユニークでいながら抑圧的で、
息苦しさ、閉塞感を感じましたが
大切なものは目に見えないー
そのメッセージがこのクリスマスという季節には特に胸に響いて、
今日この映画を観て本当に良かったと思いました。
大事なのは子供のままでいることではなく忘れないこと、とこの映画は伝えています。
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ヴェルサイユの宮廷庭師
- 2015/10/12 (Mon) |
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今日は近所のイオンシネマ港北ニュータウンで映画「ヴェルサイユの宮廷庭師」観てきました。
思ってたほど華やかじゃないしスケール感も無かったけど、
そういうハリウッド的なウリをしていない、しみじみと情趣のある映画でした。
ストーリーは1682年のパリから始まります。
宮廷をヴェルサイユに移すことにした時の太陽王ルイ14世。
そのヴェルサイユの庭園の造営を任された庭園設計士ル・ノートルは
コンペティションを開き、面接にやってきた女性造園士サビーヌ・ド・バリを助手に選ぶ。
2人は次第に心を通わせるようになり…
導入部、朝のベッドで子供達と妃に起こされるルイ14世の
くつろいだ家庭的なシーンに期待が高まりました。
そこから召使い達に白いシンプルな夜着姿から豪奢な衣装に少しずつ着替えさせながら
「私は私に相応しい最高の宮殿を作る」と宣言するルイ14世の、
親しみやすい夫・父親の顔から
国を統べる威厳ある国王の姿への変身がとても効果的で良かったです。
そしてル・ノートルの面接にやってきたサビーヌ。
「今までのルネサンス様式とは違うフランス人ならではの庭を造りたい」と言って
ル・ノートルに「私は君が今批判した物を信奉している」と言い渡され
サビーヌは自分が落選したと思い家に帰っていきますが、
後日自ら足を運んできたル・ノートルに
「私は自分の庭に新しい物を取り入れたくなった」と言われ、
宮廷庭師として採用されたサビーヌの辺りから
サビーヌとル・ノートルとの師弟愛が描かれたり
サビーヌの華麗なるサクセスストーリーが展開されるのかな?とわくわくしたのですが、
その後の展開がひたすら地味で…
最初の方はサビーヌが自ら描いた造園計画図を見せたり、
これから造園士としての仕事のあれこれが描かれるのかなーと期待したのですが
サビーヌが造園するヴェルサイユ庭園の中の「舞踏の間」という庭で
ひたすら同じような映像で工事の様子が描かれるだけで、
美しさも造園の楽しみもやりがいも描かれなくて。
更にもっと宮廷の貴婦人達や華やかな宮殿の生活が出てくるのかと思ってたのに
そういうシーンはごく一部だけでほとんどは地味な作業着を着たサビーヌと
ル・ノートルのシーンばかりで、
予告編は華のあるシーンばかりを繋いであったけどあれ軽く釣りだと思う…。
俳優陣も主演のサビーヌ役のケイト・ウィンスレット以外は綺麗どころが全くいなくて
ル・ノートル役のマティアス・スーナールツにしても
最初ケイト・ウィンスレットの相手役になるとは思わないほど凡庸な容姿だったので
そういう意味でも映像的な見せ場に乏しくてややがっかりしてました…
その代わり描かれるのは、心に傷を負った弱い人間達の姿。
サビーヌは夫と最愛の6歳の娘を馬車の事故で目の前で同時に亡くし、
劇中幾度も娘のマリー・クレールの声や幻に苛まれ、
ル・ノートルは妻と悲しい協定を結び心の通わない夫婦生活を続け、
ルイ14世は妃マリー・テレーズの突然の死に深い悲しみに暮れる…
特にルイ14世がサビーヌに
妃の残した小さな手帳をめくりながら「妃は心清らかな女だった」と語るところは
この映画の監督でもあるアラン・リックマン演じるルイ14世がとても小さく儚く見えて、
冒頭の威厳に満ちた太陽王の姿と好対照を成していてとても印象的でした。
その手帳も「陛下に頂いた花」と押し花が飾られていたり、
本当に一人の女性の息づかいがそのまま感じられるようなささやかだけど思いのこもった物で、
余計ルイ14世の寂しさが際だって見えましたー人がいなくなるってこういう事なんだなと。
サビーヌが国王の寵姫モンテスパン公爵夫人の部屋に招かれ
子供を亡くしたことを話すシーンも、
周りの女性達が「私は双子を一度に」「私は4歳の息子を」と
同調しながら半ば懐かしむように語り出し、
幼児死亡率の高かったこの時代の女性達の共通の悲しみが感じられて、
とてもきゅんとくる優しさのあるシーンで良かったです。
ル・ノートルと愛をかわしたサビーヌが翌朝
心変わりした夫が愛人の元に愛娘を連れて行った事を知り
2人の乗った馬車の前に飛び出してそのせいで馬車が山道から落下する所を思い出す場面、
マリー・クレール役の女の子可愛かったです♪
「あんなに美しい子を殺してしまった」と涙を流すサビーヌをル・ノートルが抱きしめ、
いよいよ舞踏の間が完成し、
踊りに秀でていたルイ14世と宮廷人達が中央の舞台で踊る姿から段々カメラがロングになり、
それまで全く写されなかったヴェルサイユ庭園の全貌が映し出されて終わるラストは
何か言葉にしがたい余韻を残してくれました。
結局これは名もない女性庭師が世界一華麗な宮殿の庭園を残したサクセスストーリーではなく、
弱さを抱えた人々の魂の再生を描いた物語なんだなと思いました。
そして最初の面接の時ル・ノートルが言う「君は秩序と調和を重んじるか?」という言葉に
「ほんの少しの無秩序」を愛すると答えたサビーヌの言葉が原題になっていますが、
それは庭園のみならず人生そのものに対する彼女の姿勢であり、
私達人間の本質もまたそれだと言いたいのではないかな、とこの映画を観て感じました。
私のようにベルばらみたいなきらきら宮廷絵巻を期待していくと肩すかしだと思いますが、
円熟味のある俳優陣による趣深い芝居と機知に富んだ会話は魅力的で、
求めていた映画とは違ったけどこれはこれで良かったかなと思えました。
特にサビーヌが「薔薇がしおれておるな」と言うルイ14世に
「全ての薔薇の定めですから」と自分たち女性の生き方を薔薇に例えて話すシーンは
仕掛けが利いていて印象的。
前述のように肝心の造園のシーンが魅力的に見えない所は残念でしたが、
とにかく派手で単純な物が良しとするハリウッド映画の中にあって
地味だけど堅実でしっかり作られたこういう映画もあるという事に意味を感じました。
ケイト・ウィンスレットは今年40歳だそうですが変わらぬ美しさで
自立した現代的なヒロインを演じていて良かったです。
監督兼ルイ14世役のアラン・リックマンもいぶし銀の魅力でさすがでした。
最近はディズニーとかの売れ線の映画ばかり観ていたので、
久しぶりにこういう映画を映画館で観られて良かったと思いました~。
思ってたほど華やかじゃないしスケール感も無かったけど、
そういうハリウッド的なウリをしていない、しみじみと情趣のある映画でした。
ストーリーは1682年のパリから始まります。
宮廷をヴェルサイユに移すことにした時の太陽王ルイ14世。
そのヴェルサイユの庭園の造営を任された庭園設計士ル・ノートルは
コンペティションを開き、面接にやってきた女性造園士サビーヌ・ド・バリを助手に選ぶ。
2人は次第に心を通わせるようになり…
導入部、朝のベッドで子供達と妃に起こされるルイ14世の
くつろいだ家庭的なシーンに期待が高まりました。
そこから召使い達に白いシンプルな夜着姿から豪奢な衣装に少しずつ着替えさせながら
「私は私に相応しい最高の宮殿を作る」と宣言するルイ14世の、
親しみやすい夫・父親の顔から
国を統べる威厳ある国王の姿への変身がとても効果的で良かったです。
そしてル・ノートルの面接にやってきたサビーヌ。
「今までのルネサンス様式とは違うフランス人ならではの庭を造りたい」と言って
ル・ノートルに「私は君が今批判した物を信奉している」と言い渡され
サビーヌは自分が落選したと思い家に帰っていきますが、
後日自ら足を運んできたル・ノートルに
「私は自分の庭に新しい物を取り入れたくなった」と言われ、
宮廷庭師として採用されたサビーヌの辺りから
サビーヌとル・ノートルとの師弟愛が描かれたり
サビーヌの華麗なるサクセスストーリーが展開されるのかな?とわくわくしたのですが、
その後の展開がひたすら地味で…
最初の方はサビーヌが自ら描いた造園計画図を見せたり、
これから造園士としての仕事のあれこれが描かれるのかなーと期待したのですが
サビーヌが造園するヴェルサイユ庭園の中の「舞踏の間」という庭で
ひたすら同じような映像で工事の様子が描かれるだけで、
美しさも造園の楽しみもやりがいも描かれなくて。
更にもっと宮廷の貴婦人達や華やかな宮殿の生活が出てくるのかと思ってたのに
そういうシーンはごく一部だけでほとんどは地味な作業着を着たサビーヌと
ル・ノートルのシーンばかりで、
予告編は華のあるシーンばかりを繋いであったけどあれ軽く釣りだと思う…。
俳優陣も主演のサビーヌ役のケイト・ウィンスレット以外は綺麗どころが全くいなくて
ル・ノートル役のマティアス・スーナールツにしても
最初ケイト・ウィンスレットの相手役になるとは思わないほど凡庸な容姿だったので
そういう意味でも映像的な見せ場に乏しくてややがっかりしてました…
その代わり描かれるのは、心に傷を負った弱い人間達の姿。
サビーヌは夫と最愛の6歳の娘を馬車の事故で目の前で同時に亡くし、
劇中幾度も娘のマリー・クレールの声や幻に苛まれ、
ル・ノートルは妻と悲しい協定を結び心の通わない夫婦生活を続け、
ルイ14世は妃マリー・テレーズの突然の死に深い悲しみに暮れる…
特にルイ14世がサビーヌに
妃の残した小さな手帳をめくりながら「妃は心清らかな女だった」と語るところは
この映画の監督でもあるアラン・リックマン演じるルイ14世がとても小さく儚く見えて、
冒頭の威厳に満ちた太陽王の姿と好対照を成していてとても印象的でした。
その手帳も「陛下に頂いた花」と押し花が飾られていたり、
本当に一人の女性の息づかいがそのまま感じられるようなささやかだけど思いのこもった物で、
余計ルイ14世の寂しさが際だって見えましたー人がいなくなるってこういう事なんだなと。
サビーヌが国王の寵姫モンテスパン公爵夫人の部屋に招かれ
子供を亡くしたことを話すシーンも、
周りの女性達が「私は双子を一度に」「私は4歳の息子を」と
同調しながら半ば懐かしむように語り出し、
幼児死亡率の高かったこの時代の女性達の共通の悲しみが感じられて、
とてもきゅんとくる優しさのあるシーンで良かったです。
ル・ノートルと愛をかわしたサビーヌが翌朝
心変わりした夫が愛人の元に愛娘を連れて行った事を知り
2人の乗った馬車の前に飛び出してそのせいで馬車が山道から落下する所を思い出す場面、
マリー・クレール役の女の子可愛かったです♪
「あんなに美しい子を殺してしまった」と涙を流すサビーヌをル・ノートルが抱きしめ、
いよいよ舞踏の間が完成し、
踊りに秀でていたルイ14世と宮廷人達が中央の舞台で踊る姿から段々カメラがロングになり、
それまで全く写されなかったヴェルサイユ庭園の全貌が映し出されて終わるラストは
何か言葉にしがたい余韻を残してくれました。
結局これは名もない女性庭師が世界一華麗な宮殿の庭園を残したサクセスストーリーではなく、
弱さを抱えた人々の魂の再生を描いた物語なんだなと思いました。
そして最初の面接の時ル・ノートルが言う「君は秩序と調和を重んじるか?」という言葉に
「ほんの少しの無秩序」を愛すると答えたサビーヌの言葉が原題になっていますが、
それは庭園のみならず人生そのものに対する彼女の姿勢であり、
私達人間の本質もまたそれだと言いたいのではないかな、とこの映画を観て感じました。
私のようにベルばらみたいなきらきら宮廷絵巻を期待していくと肩すかしだと思いますが、
円熟味のある俳優陣による趣深い芝居と機知に富んだ会話は魅力的で、
求めていた映画とは違ったけどこれはこれで良かったかなと思えました。
特にサビーヌが「薔薇がしおれておるな」と言うルイ14世に
「全ての薔薇の定めですから」と自分たち女性の生き方を薔薇に例えて話すシーンは
仕掛けが利いていて印象的。
前述のように肝心の造園のシーンが魅力的に見えない所は残念でしたが、
とにかく派手で単純な物が良しとするハリウッド映画の中にあって
地味だけど堅実でしっかり作られたこういう映画もあるという事に意味を感じました。
ケイト・ウィンスレットは今年40歳だそうですが変わらぬ美しさで
自立した現代的なヒロインを演じていて良かったです。
監督兼ルイ14世役のアラン・リックマンもいぶし銀の魅力でさすがでした。
最近はディズニーとかの売れ線の映画ばかり観ていたので、
久しぶりにこういう映画を映画館で観られて良かったと思いました~。
エルサのサプライズ/シンデレラ
- 2015/04/25 (Sat) |
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今日は前々から楽しみにしていたディズニーのシンデレラ観に行ってきましたー
ディズニーのシンデレラならまず鉄板だろと思ってたのですが・・・
うん、思ってたより凡作だったかな・・・
ただシンデレラという古典的なおとぎ話を
2時間の映画にするのは色々難しいだろうなとは思ってましたが、
このお話が色々膨らませやすい現代の観客の目にも耐えうる物語なのは分かりました。
まず最初に同時上映のアナと雪の女王のその後を描いた短編「エルサのサプライズ」。
アナの誕生日のためにケーキの準備をするエルサ可愛いvv
ケーキの上の雪像を色々とっかえひっかえして、
アナ雪の氷になったアナにすがりついて泣くエルサの形になって
「こんなの絶対駄目!」っていうシーンとか、
ケーキつまみ食いするオラフとか
ハッピーバースデーの飾り幕が
文字が入れ替わって変な言葉になっちゃう所とか面白かったです。
アナと自分の衣装を魔法で夏らしく変えるエルサのシーンとか素敵でした。
2人の衣装凄く可愛かった!
前作とは打って変わって全篇夏の陽光が降り注ぐような映像も美しかったですー
風邪を引いてしまったエルサにアナが
「2人でいられることが一番嬉しい」と言ってハッピーエンド。
短いながらも可愛らしいお話で映像的にも見応え合って良かったです。
で、本編のシンデレラ。
マレフィセントの教訓から絶対に吹き替えで観ようと思ってたのですが、
いつも行く映画館吹き替えしかやってませんでした。
高畑充希ちゃん好きだけど、何か台詞回しが舌っ足らずというか、
語尾がこもる感じなのが気になる・・・声はとっても可愛いんですが。
亡くなった母親の「優しさと勇気を忘れないで」という言葉を胸に、
美しく優しい娘へと成長するエラ。
・・・なのですが、前宣伝で散々
「新しいシンデレラ像」「勇気と愛に満ちたシンデレラ」を謳ってた割りに、
エラのキャラクター像が良く分かりませんでした・・・
継母と義理の姉たちに文句を言うわけでもなく、忙しく立ち働く所は
従来のシンデレラと大差ないし、優しさは・・・ねずみ達に優しくしてあげてる所・・・?
で、勇気は?って感じで。
王子とのロマンスもどれだけ説得力を持たせるのかと思ったら
森で馬に乗った所を偶然出会って「鹿を撃たないで」と言っただけでお互い好意を持つとか・・・
でお決まりの「実は王子と知らなかった」展開ですが、
別に王子と分かってて惹かれるのでも良いのになーと思います。
そんなにシンデレラを欲のない女の子に描きたいのかなあ。
でもアニメ版のシンデレラみたいに猫が悪者にならなかった所は良かったです。
あの展開は猫好きとしては胸くそだったので。ルシファー役のにゃんこ可愛かった。
王子と父王の絆も描かれていると言うことでしたが、
こちらもとってつけた様であんまり・・・でした。
でも継母のトレメイン夫人の描き方は良かったです。
この映画の中で一番掘り下げられてるのが彼女のキャラクターなんじゃないかと。
まだエラの父親が生きてる頃「お前とお母さんを思い出すよ」と言ってる所を聞いてしまって
エラに憎しみを抱くようになる所とか、
ガラスの靴を割るシーンでの自分の昔話とか、
演じているケイト・ブランシェットが言っていたように、
どういう出来事があってどのようにして悪役になったのかという因果関係みたいな物を
しっかり描いているので、悪役ながら行動に説得力が出てて魅力がありました。
継母もエラの父の中にいるエラの母の記憶が辛かったんだろうなとか、
色々考えさせられました。
エラに「あなたを許します」と言われてもずっと表情を変えない所とか、
ケイトのキャラクター作りや演技凄く印象的で良かったです。
ガラスの靴を試したエラが「私はプリンセスではない。ありのままの私を愛してくれる?」
と聞いて、王子も「ありのままの自分を受け入れてくれるなら」と答えるところは
いくらアナ雪がヒットしたからって「真実の愛」の次は「ありのままに」の大安売りですか、
と思わないでもなかったですが、それこそがエラの「勇気」だったのかなと。
ドレスを脱いだありのままの自分を相手に見せる勇気、
それが愛を成就させるのに一番必要なこと、というのが本作のテーマなのかなと思いました。
美術面は言うまでもなく素晴らしかったですー
エラの住む古風な屋敷や豪奢な城の外観、舞踏会の大広間、精緻なカボチャの馬車・・・
衣装もとっても素敵。「恋に落ちたシェイクスピア」や「ヴィクトリア女王世紀の愛」で
アカデミー衣装デザイン賞取った方が担当してるんですねー
どちらの映画も衣装凄く素敵で好きだったので納得。
継母のエレガントな装いが凄く好きでしたー
エラの家にやってきた所の緑の胴衣にレースが施されて、
スカートの裾部分に模様が入ってるドレスとかとっても綺麗だったー
どの衣装もケイト・ブランシェットの洗練された美貌にとてもよく似合ってました。
ただ肝心のシンデレラの舞踏会用のドレスがなあ・・・
舞踏会の中で最もシンプルかつゴージャスな装いにしなくてはならなかった、
とデザイナーの方が言っていましたが、
前宣伝の時から思ってたことですがシンプルすぎて青の色調もあんまり好みじゃない・・・
舞踏会のシーンでこの人のドレスの方が素敵、と思うドレスがいっぱいあって・・・
シンデレラでドレスにハマれないって致命的だよなあ。あくまでも私個人の好みですが。
フェアリー・ゴッドマザーのエリザベスカラーの着いた白いドレスの方が好みでした。
でもラストの結婚式の時のウエディングドレスは可愛かったですー
白の中にパステルカラーでお花の刺繍が施されててとっても可愛らしい。
髪型もこういうアップスタイルの方が好みだなあ。
王子の上品な淡いブルーの衣装とも調和してて良かったです。
とにかく全体的にはもっと掘り下げようと思えば掘り下げられただろうと思う所はあって、
その割りにごちゃごちゃした印象もありましたが、
何と言ってもシンデレラという女の子の永遠の憧れをあのディズニーが実写化したという事で、
フェアリー・ゴッドマザーの魔法で変身するシーンや
舞踏会のシーンなどはふんだんに夢の世界を映像化してくれていて、
そういう部分は文句なしに期待して行って良い映画だと思います。
変身シーンはちょっと長くてくどく感じないでもなかったですが、
まあ一番のハイライトシーンですしね。
あとはフェアリー・ゴッドマザー役のヘレナ・ボナム・カーターが好きなので
もう少し出番有っても良かったのになと思いましたが。
日本版エンドソングの
高畑充希ちゃんと王子役の城田優さんの夢は密かにのデュエットも可愛らしくて良かったです。
劇場内ほぼ小学生の女の子ばっかりだったし、
プリンセスを夢見る女の子とお母さんが一緒に観るにはぴったりの映画だと思います。
イントゥ・ザ・ウッズ
- 2015/03/15 (Sun) |
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今日は去年から予告編で楽しみにしていたディズニー映画
イントゥ・ザ・ウッズ観てきましたー
思ってたよりずっと面白かったですーけどテーマはちょっと分かりにくかったかな?
赤ずきん、ジャックと豆の木のジャック、シンデレラ、ラプンツェルといった
お馴染みのおとぎ話の主人公達が一堂に集まるという豪華なストーリー。
グリムなどの童話は大好きなので、それだけでも眼福でしたー
ブロードウェイミュージカルを映画化したということで、音楽も軽快で楽しい♪
特にシンデレラの王子とラプンツェルの王子が自分のことをそれぞれ
こんなに完璧な王子はいないと歌うところはロマンチックで良かったですー
ラプンツェルの王子、本当に王子様って感じの美形で素敵vv
魔女にかけられた呪いで子供が出来ないパン屋の夫婦が、
当の魔法をかけた魔女に言われて呪いを解くために森の中で
血のように赤いずきん、ミルクのように白い牛、トウモロコシのように黄色い髪、
黄金のように輝く靴を探す事に。
一方時を同じくして母親に牛を売るように言われたジャック、
おばあさんにパンを届けに行く赤ずきん、
森にある母の墓に舞踏会用のドレスをもらいにいくシンデレラなど、
童話の主人公が集まってきて…
思ってたより各童話それぞれのストーリーが丁寧に描かれていて、
どれか一本だけでもそのまま映画化出来そうな感じでしたー
特にラプンツェルとシンデレラはお姫様好きにはたまらないvv
シンデレラでガラスの靴をはこうとした義理の姉たちが
かかととつまさきをナイフで切り落としたり、
赤ずきんとおばあさんを食べた狼のお腹をナイフで裂いて二人を助けるところとか
原典のお話の残酷なシーンを忠実に入れてるのもブラックで良かったです。
特にシンデレラの結婚式で小鳥たちに目をえぐられて
杖を突いてサングラスかけて歩く義姉達が程よいブラックさで面白かったですー
ただジョニデの狼とかラプンツェルとか、
このキャラお話に必要か?って感じはしましたが…
ストーリー的にはシンデレラの結婚式が終わった後、
これからどうなるんだろう?って先が全く読めなくて面白かったですが、
パン屋のおかみさんが不幸になるのがいまいち納得いかない…
魔女も結局何がしたいのかよく分かりませんでした。
でも童話の主人公達が集まることで化学反応が起こって
独自のお話が紡ぎ出されていくところとかはとても良かったです。
巨人退治のシーンはとてもエキサイティング。
その後の登場人物達の顛末も新しい感じで良かったと思います。
そして何を隠そうこの映画を観たいと思った一番の原因の
赤ずきん役のリラ・クロフォードちゃんがめちゃくちゃ可愛いvv
黒髪みつあみに真っ赤なずきんが映えて、あどけない面差しの中にも少女の色香を感じました。
昔本当は恐ろしいグリム童話系の本読み漁ってたおかげで
赤ずきんのお話でいやーんな妄想してた事もあるので(笑)萌え萌えしましたvv
演技も上手だしちょっとした仕草や表情、立ち姿がとっても可憐。
改めて少女って美しいなあと思いました。
衣装も可愛いのですよー真っ赤なずきんは前にも後ろにも垂れ下がるコート状で、
ずきんの中は上品なスモークブルーのスモックワンピース。
こういう服装は少女の純粋さを強調して良いですねえ♪
シンデレラ役のアナ・ケンドリックは…
ついったでブロンドのお姫様ばっかりでつまらん的な事を書きましたが、
ブルネットだとシンデレラとしてはどうしてもコレジャナイ感がしちゃいますね…
というかブルネットは置いておいても顔立ちが若い少女には見えなくて
疲れた主婦にしか見えないのが問題かと。
ラストパン屋夫婦の赤ちゃんを抱くところは普通にやつれたお母さんに見えてしまう。
反対にラプンツェル役のマッケンジー・マウジーは
瑞々しい少女そのものの美しさで良かったです~長い金髪の巻き毛がよく似合うvv
ジャック役のダニエル・ハットルストーン君は
レ・ミゼラブルのガブローシュ役の子だったんですねー
少年らしく素直な感じがとっても可愛かったですvv
テーマは…自分の気持ちに正直に生きよう、なのかな??
言葉は力を持ちます、気をつけてというラストのナレーションから、
童話として語られているお話が本当はこうだったかも?
それをどう受け止めるかはあなた次第、という感じのことを言いたいのかなと思いました。
とにかくストーリー的には納得のいかないところや腑に落ちないところもありましたが、
何と言っても様々な奇跡が起きる森の中の映像や描写が全篇とても美しくて引き込まれるし、
2時間全く飽きずに観られましたー本当童話好きにはたまらない映画でした!
次は来月公開のディズニーのシンデレラ観たいです。
ANNIEアニー
- 2015/01/29 (Thu) |
- 映画感想 |
- CM(2) |
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今日は予告編観て観たいと思ってた映画アニーを観てきましたー結構良かったです。
アニー役のクワベンジャネ・ウォレスちゃん上手かったし、
表情とかお茶目でキュートで可愛かった。
元々のミュージカルのストーリーはあんまり知らないのですが、
この映画はミュージカルのストーリーを下敷きにしつつ
設定などを現代風にアレンジしたANNIEという感じでしたー
その設定を明確にするため
フェイスブックとかスマホとかツイッターとかをばんばん前面に出した作りでしたが、
その辺また後から観ると古くなっちゃうのになーとは思いましたが…
でも即席両親にさらわれた?アニーを助けるところで
ツイッターが上手く機能してる所なんかは上手いなーと言うか
いかにも現代的な感じで面白かったです。
ミス・ハニガンの「私のフェイスブックでいいねしなさいよね!」
とかも面白かったです(笑)
冒頭学校が終わってから街へ駆け出すアニーのカメラワークがとても良くて、
わくわくしながら引き込まれましたー
アニーが住人番号?を利用して両親の情報を探し出そうとするも、
結局情報が見つからなかった所で歌う有名な「トゥモロー」も良かったですー
水たまりに落ちたアニーの情報を印刷した紙を見つめるアニーが切ない。
同じ里子の少女達とアニーのハード・ナット・ライフのシーンも楽しかったです。
ペッパー役の女の子美少女!
いまいちだった所は、一応シンデレラストーリー物なのに
観ていてあんまり羨ましいと思えない所ですかね…
スタックスが暮らす家が無機質すぎて、アニーが「この家断然好きになれそう」と歌っても
いまいち実感が無いというか…
ここは普通に大きなお屋敷とかで良かったんじゃないかと思います。
ガイと組んだハニングがアニーの些細な一言で改心しちゃうのもちょっとなー
原作もそうなのかも知れないけど、ハニングは悪者のままの方が締まったんじゃないかなと。
あとスタックスと恋仲になるグレースも結構重要な役なのに
ハニングがいい人になってしまうおかげで
あんまり目立たなくなっちゃうのも惜しいと思いました。
他にもスタックスともう一エピソード位あっても良かったかも。
アニーの両親も結局手紙とペンダントの伏線が回収されないままだったし。
でも全体的にはポップで現代性溢れるミュージカルで、
アニーの決して諦めない不屈の精神がとっても明るく描かれていて良かったです。
幸せって自分で信じてるからこそつかめる物だよねと思いました。
アニーの大きなリボンの付いたオレンジのドレス可愛かったし、
アニーが字が読めないというミスリードにはやられましたー
あの両親の残した手紙を
ずっと暗記するほど読んでもらってたんだなというのが分かってうるうるしました。
最後のスタックス識字センターのオープンシーンでみんながトゥモローを歌いながら
赤い風船の舞う中を踊る所で涙がこぼれました。
エンドロールの平井堅の歌うトゥモローも良かったですー
明日への希望に溢れた素敵な作品で、家族で安心して楽しめる映画だと思います。
…でも私の他に観てる人3,4,組位しかいなかった…
トゥモローは何と言っても名曲ですね!
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